人一倍繊細なHSPが自分を知って楽になる方法 武田友紀×大木亜希子「私は私のままでいい」

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大木亜希子さん(左)と武田友紀さん(写真はいずれも本人提供)
どのように生きたら良いのか分からなかった。
いま振り返れば、あの頃は苦手なことに挑戦して感性を磨いたり、試練に向き合ったりしなければならない時期だったのだと冷静に思える。
しかし、どこかでずっと無理をしていた。
精神がすり減ったとしても、「私は平気なんだ」と思い込み続けて無理は重なっていく。
アイドルを卒業して会社員になってからもその気質は変わらず、必死で隠して仕事した。
失敗ばかりの日々だった。
「なぜこんな簡単な作業ができないんだろう」、「請求書を作るのに時間がかかりすぎる」、「パワポの資料作りが自分だけ劣っている」という感覚にしばしば襲われた。
孤独だった。
良いクライアントに恵まれ、会社の人も出来るだけ私に気を遣ってくれたのかもしれないが、ある日、駅のホームで突発的に歩けなくなり、会社を辞めた。
何事にも気がつくあまり、本当にすぐに疲れる。
(「自分の性質に「名前」がついた瞬間、ホッとした【HSP】」――大木亜希子「note」2020年6月9日配信)

ライター大木亜希子が公表した「HSP」

女性アイドルグループ「SDN48」の元アイドルであり、現在は作家・ライター・コラムニストとして活躍する大木亜希子さん(30歳)が、自身がHSPであることを公表した。

HSPとは、“Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)”の略で、「人一倍繊細な人」と訳される。1996年にアメリカの心理学者のエレイン・アーロン博士が提唱した概念であり、病気や障害ではなく、音や光、相手の感情などまわりの環境から刺激を受けやすく、物事を深く考える傾向が強い気質を持った人のことをいう。

日本人の5人に1人が該当すると言われ、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さん(46歳)、元でんぱ組.incの最上もがさん(31歳)などの有名人も自らがHSPであると公表している。2019年夏の金曜ドラマ「凪のお暇」(TBS系)では、繊細な主人公である凪(黒木華さん)の生き方が、生きづらさを抱えている視聴者に共感され、勇気を与えたのは記憶に新しい。

ちょっとした人の言動や表情に左右されやすい。メールの返信の言葉を選ぶのに、つい時間をかけて、書いては消してを繰り返し、時間を要してしまう。他人の感情をあまりにも敏感に感じ取ってしまうため、他人の負の感情をどんどん吸い込んでしまう。小さなミスがあっただけで、強く自分を責めてしまう。光や音、匂いなどの刺激が気になってしかたない――。

このような悩みをもつ人は“HSP”なのかもしれない。自らの繊細な気質に悩んできた大木さんが、自身もHSPでありつつ、HSP専門カウンセラーとして活動する武田友紀さん(36歳)に相談を持ち掛け、HSPであるがゆえの生きづらさと対処法を語り合った。前後編の2回にわたってお届けする。(司会は二宮未央、対談はZoomで実施)

次ページ「自分の性質に名前がついた瞬間にホッとした」
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