「コロナで確定拠出年金ほったらかし」は最悪だ 会社はもっと適切な運用商品を用意すべきだ

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今や700万人以上が加入する企業型確定拠出年金。運用商品の選定や見直しは会社任せだが、コロナ相場でもしっかりやってくれているだろうか(写真:ふじよ/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により一時急落した株式市場は、この約3カ月で相当な水準まで戻っています。確定拠出年金に関していえば、加入者の方々は、リーマンショックのときのように「マーケットがどこまで下がるか、わからない」という恐怖心を抱く期間は短かったかもしれません。そのせいもあってか、損をしたまま投げ売りするようなケースは少なく、従来どおり積み立て投資を続けている方々が多いようです。

一方で、「企業型確定拠出年金」(企業型DC)の運営者である事業主の動向としては、「商品ラインナップの見直しを先送りした」と、ちょっと気がかりな情報もあります。コロナ禍の陰で企業型DCの商品見直しが止まっているわけですが、今後、加入者の方々がその影響を受けないとも限りません。

今回は、企業型DCの見直しがなぜ進まないのか、それでどのような影響が出るのか。そして、加入者自身が見直しを促し、老後の資産形成を進めるにはどうしたらいいのかについてもお話しします。

iDeCoのような「自由に選択する権利」がない

確定拠出年金というのは提示されている商品でしか運用できません。そして、少なくとも60歳までの長い時間、運用していくことになるので、商品ラインナップが適切であることはとても重要です。

企業型DCの場合、その商品を選定するのは会社または業務委託先の金融機関です。個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合は、プランを提供している、つまり契約先となる金融機関が商品を選定しています。iDeCoの加入者は商品ラインナップを見て、どこの金融機関と契約するか選ぶことができます。しかし企業型DCの加入者は、契約する金融機関も商品ラインナップも自由に選択できません。

企業型DCの加入者のために適切な商品を並べることは、その制度を導入し運営する会社の重大な責務といえます。昨今、使われる言葉でいえば「フィデューシャリー・デューティー」(受託者の義務)であり、確定拠出年金においては「加入者の利益のみを優先する」と法律に明記までされています。

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