住宅弱者に寄り添い続ける幼馴染の2人の挑戦
官・民が組んだ神奈川県座間市の取組みとは

私は大丈夫、と思っていてもどうなるか分からない
松本さんはワンエイドの理事長、石塚さんはプライムの代表を務めている。高校の同級生だったふたりはともに不動産業界で長く勤務していたが、物件の仲介業務の中で、本当に住宅に困っているにもかかわらず、高齢者や母子家庭であるなどが理由でオーナーに敬遠されてしまい断らざるをえないケースが数多くあることに胸を痛めてきたという。
住宅困窮者の力になりたいとワンエイドを立ち上げ、住まいに関する相談にのっていたが、NPOの活動範囲内ではカバーできない、最終的に入居ができるまでの実務の面に対応するため、不動産会社も設立した。「困っている人を助けたいという福祉の目線と、不動産業務の間には温度差がある。その真ん中をつなげたかった」と松本さんは話す。
困窮者たちが物件のオーナーから契約を断られるケースは、「100人いたら100とおり」だという。天涯孤独の高齢者であれば亡くなった後の荷物の整理が大家の負担になり、障害者であれば近隣トラブルを懸念されたりといったことも。一般的な不動産会社では、そのフォローをどうしたらいいかが認知されていないため入居のハードルはあがってしまう。

ワンエイドでは、ただ困窮者に物件を仲介するだけでなく、オーナーに安心して貸し出してもらえるよう、高齢者などの見守りやゴミ屋敷の掃除などのサポート業務も引き受けている。