苦境の「スナック」ママたちが飛び込んだ新境地 「オンラインスナック横丁」は定着するか

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厳しい状況に置かれているスナックのママたちが、新しい取り組みに参加し始めた(写真:オンラインスナック横丁提供)

地域の人たちにとって「社交場」であるスナックが新型コロナウイルスによって、極めて厳しい状況に追い込まれている。休業要請によって店を開けられない期間が長引いているうえ、緊急事態宣言が解除された後も「3密」になりがちな業態だけに、当面は“通常営業”できそうにない。

比較的高齢の経営者も多いだけに今後閉店を決める店も出てきそうだが、一方で生き残りをかけて奔走しているママたちもいる。

壊滅的なダメージを受けている

「感染が広がった2月から来客が減り、ほぼ収入がない状態が続いています。居酒屋さんなど食事を提供しているお店では時間を短縮して営業したり、出前やテイクアウトにシフトチェンジしたりしていますが、お酒がメインのスナックではそういうわけにもいかず、3密が揃っているため感染リスクを考えると営業は難しい。壊滅的なダメージを受けています」

北海道札幌市のすすきのにあるスナック「ひなぎく」のママ、酒井彩氏はこう話す。今年営業3年目を迎える同店は、下は20代から上は80代まで幅広い年代層の顧客を持つ人気店だったが、新型コロナウイルスで状況が一変した。

同店は4月16日に全国で緊急事態宣言が出される前の4月6日から自主休業を続けている。北海道では全国に先駆けて感染が広がり、すでに2月28日には道独自の緊急事態宣言が出された(3月19日に解除)からだ。

2〜5月は借り入れをするなど事業を続けるために走り回ったが、持続化給付金や、融資も相談が殺到しており順番待ちの状態。3月下旬から4月下旬までクラウドファンディングを利用して、前売りチケット販売という形で支援を募り、41人から約25万円の資金を集めたものの、システムの都合上、振り込まれるのは6月だという。

ツイッターやライン、フェイスブックなどSNSを活用して顧客との接点を維持しつつ、洋裁の経験を生かして手作りの布マスクを販売するなど、店を守るためにできることは何でも行っているが、苦しい状況は変わらない。知り合いや周りの店が耐えきれず閉店していく姿を日々目の当たりにしている。

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