河井前法相、「公選法違反で立件」の政治的背景 逮捕か在宅起訴か、揺れる検察の最終判断

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衆院本会議に臨む河井克行前法相(左)(写真:時事)

河井克行前法相と夫人の案里参院議員の公職選挙法違反(買収)での捜査が大詰めを迎えている。

大型連休明けから主要メディアが河井前法相の買収罪での立件を一斉に報じ、自民党内でも「早く決着させるべきだ」(若手)との声が出始めている。

ただ、立件のタイミングと、逮捕があるかどうかで見方が分かれている。現職議員には国会開会中の不逮捕特権があり、逮捕には検察による逮捕許諾請求と国会の議決が必要になる。

夫妻の捜査は最終局面に

国会では政権寄りとされる東京高検の黒川弘務検事長の定年延長問題と、それに絡む検察庁法改正案をめぐる与野党の攻防が激化している。与党内には「河井氏の早期在宅起訴で検察の独立性をアピールすることで、検察庁法改正案への国民の批判もかわせるのでは」(自民国対)との思惑も広がっている。

2019年夏の参院選における案里氏陣営の選挙違反事件で、検察当局が本格的に動き出したのは2019年秋のことだった。「ウグイス嬢」と呼ばれる車上運動員に法定上限を超える報酬を支払ったとして、案里氏の公設秘書らが逮捕され、3月下旬に公選法違反(買収)罪で起訴された。すでに、裁判も始まり、5月19日には2回目の公判が予定されている。

検察当局は河井夫妻の関与について本格捜査を続行。その結果、選挙活動の事実上の司令塔とされる河井前法相が、多数の地元議員らに票の取りまとめのため現金を渡したとの疑いを強め、河井氏の買収容疑での起訴に向けて動き出したとされる。

河井夫妻に絡む捜査には、地元の広島地検だけでなく東京、大阪両地検からも応援部隊が派遣されている。連休中に都内で河井夫妻を任意で事情聴取するなど、証拠固めも含め、捜査は最終局面を迎えたとみられている。

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