コロナと共存する私たちに絶対欠かせない備え 環境と身体を考慮してすべて見直す必要がある

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コロナ以後の世界を私たちはどう生きていったらいいだろうか(写真は東京都内で5月7日撮影、ロイター/Kim Kyung-Hoon)

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)は、恐るべきことに今やわたしたちの日常風景の一部と化してしまった。最近「アフターコロナ」「ポストコロナ」(コロナ後)といった言葉で、この世界の急激な変化と予測される未来像に関する議論が始まっている。

しかし、正確には国内外の多くの識者が指摘しているように、「ウィズコロナ(withコロナ)」(コロナとの共存・共生)という言葉こそが真実に近いといえる。今回のコロナ禍が長期化することが予想されているだけでなく、今後も繰り返し流行する可能性が高いと言われているからだ。好むと好まざるとにかかわらずこの未知のウイルスと付き合わなければならない以上、わたしたち人類も価値観の変容が求められているのではないだろうか。そんなウィズコロナ時代に相応しいキーワードは「環境」と「身体」に集約できるだろう。

大気汚染が改善されCO2排出量が激減

まず世界各国でロックダウンや経済活動の制限が進む中で、思いも寄らぬ〝副作用〟がもたらされた。突然霧が晴れたように大気汚染が改善され、CO2(二酸化炭素)排出量が劇的に減少したのである。自動車やトラック、バスなどが道路から姿を消し、工場も大規模商業施設もオフィスビルも稼働しなくなった結果、例えばインドでは200キロ離れたヒマラヤ山脈の絶景を拝めるほどになった。

また、人がいなくなった都市で野生動物が闊歩し始め、イギリスでは100頭を超える野生ヤギが我が物顔で街中を周遊し、南アフリカではライオンの群れが路上を占拠して昼寝している様子が話題を呼んだ。イタリアでは、ベネチアの運河が透き通ってクラゲやカニなどを直接目にすることすらできるようになったという。清浄化された真っ青な大気と動物たちの楽園の出現は、まるでSF小説に描かれる「人類が地上から消えた世界」そのものである。

その一方で、これまで積極的に取り組むことをせず、見向きもされなかった大気汚染の深刻な実態が、コロナ禍に少なからず影を落としていることも明らかになった。

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