コロナ禍で突然の解雇、そのとき何をすべきか それは解雇?それとも退職勧奨?

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もし勤務先から解雇を言い渡された場合の退職手続きや、その際の留意点などについて解説します(写真:タカス/PIXTA)
新型コロナウイルスの影響による営業自粛が、多くの産業、サービスに影響を及ぼしています。自粛が長期化する中で経営が悪化し、従業員の解雇を行うケースも聞かれるようになってきました。従業員の側として、今知っておくべき知識とは。『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』の監修者・泉美智子氏に、わかりやすく解説してもらいます。

新型コロナウイルスの拡大により、社会全体に不安が広がっています。事業の継続が難しくなる企業も徐々に増え、突然解雇を言い渡されるということもありうる時勢となってきました。

やむにやまれぬ決断に基づく解雇がほとんどだと思いますが、会社の評判を毀損することにもなりうるので、経営判断としても「解雇判断」は慎重にしてほしいところですが、もし今、勤務先から解雇を言い渡されたら、従業員の側はどのように考え判断すべきか。解雇による退職手続きや、その際の留意点などについて解説します。

解雇なのか退職勧奨なのか、その違いは大きい

「明日からこなくていい」「辞めてくれないか」

みなさん、会社の経営難でこう言われたら解雇通知だと思いますか? それとも退職勧奨だと思いますか?

解雇にまつわるトラブルの多くは、従業員が解雇だと思い込んで退職したところ、実は退職勧奨でしかなかったというケースです。

解雇は、従業員の意思にかかわらず企業から一方的に労働契約を解約することであり、解雇通知後は退職の手続きがどんどん進んでいきます。退職勧奨は、従業員の自由な意思による退職を単に企業が促すにすぎず、法的な効果はありません。

解雇と退職勧奨は全く別のものです。はっきりしない場合は、企業に確認する必要があります。

明確に企業から解雇の意思表示があったときは、事実上手続きは進んでいきます。しかし、会社員人生の中で、解雇は従業員の生活が一変する最も重い処分です。解雇回避のための企業努力は十分か、やるべきことはやり尽くしたかを企業に問うことは、従業員に当然に認められる権利です。在籍することを諦めるか否か冷静に判断するために、解雇を通知されたら、労働基準法第22条に定める「解雇理由」を書面で請求しましょう。

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