銀行システム開放迫る「オープンAPI」とは何か システムへの接続めぐり、中小地銀に不満

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普及が進む家計簿アプリサービスなどの基盤となる銀行システムをめぐり、公正取引委員会が乗り出した(写真:西村尚己/アフロ)

近年、急速に普及が進んでいる家計簿アプリやクラウド会計ソフト。それらのサービスの基盤となる銀行システムについて、公正取引委員会がシステムを維持・開発する銀行やシステムベンダーに対して、料金のつり上げや競争妨害行為をやめるよう求めている。

公取委は4月21日、「フィンテックを活用した金融サービスの向上に向けた競争政策上の課題について」という文書を公表した。その中で、銀行に対しては「接続料金を不当に高くするな」と要請し、システムベンダーには「銀行が接続料金を不当に高くする原因は高額なシステム開発費用にあり、それはシステム開発業者の選定プロセスで公正な競争が起きていないせい」などと指摘したのだ。

金融庁が打ち出した「オープンAPI構想」

クラウド会計ソフトや家計簿アプリは2013年ごろに登場したが、いずれも銀行のシステムにアクセスし、銀行口座の入出金情報を自動的に呼び出す仕組みになっている。銀行システムへのアクセスに必要な、インターネットバンキングのIDやパスワードの情報は、フィンテック業者が顧客から提供を受け、顧客に成り代わって銀行のシステムにアクセスし、情報を取得している。

本来は口座名義人のみに使用を認めているIDやパスワードを、口座名義人ではないフィンテック業者が使用してアクセスすること自体、本来は望ましい姿ではない。結果的に目立った事故が起きてこなかっただけで、事故が起きた場合の責任の所在もあいまいだった。

このため、金融庁は2016年から金融審議会で議論を開始。2017年5月成立の改正銀行法で、顧客からの委託で銀行のシステムに接続できる業者を「電子決済等代行業者」(電代業者)と定義、金融庁に登録させることにした。

金融機関に対しても、システムへの接続仕様を公開し、電代業者と契約を結んだうえでアクセスを認めるよう求め、安全にデータ連携できる制度を整備した。いわゆる「オープンAPI」構想である。

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