岩田健太郎「世界中がコロナ甘く見ていた理由」 7番目のコロナは「時限爆弾」のようなもの

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世界中の人々を悩ます新型コロナウイルス「最大の特徴」とは?(Vik_Y/PIXTA)
なぜ新型コロナウイルスの感染拡大防止に多くの国が遅れをとったのか? 2月に横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の内情を告発して注目を集めた、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授が「新型コロナ最大の特徴」について解説。新書『新型コロナウイルスの真実』から一部抜粋・再構成してお届けする。

風邪の原因となる従来のコロナウイルスは4種類で、2002年にSARSが、2012年にMERSが出て、延べ6種類のコロナウイルスが人間に病気を起こすことが、これまでに分かっていたことになります。

そして、今回世界中で流行しているのが「7番目のコロナウイルス」になります。これはおそらく2019年の暮れ……11月とか12月とか諸説ありますが、中国・湖北省の武漢で感染を始めました。

見つかった当初は「海鮮市場で、哺乳類や爬虫類など何らかの動物から感染したんじゃないか」といわれていましたが、後から調べたところ、その前から既に感染があったことが分かっています。ですから現時点では、感染の大元がどこにあったのかは分かっていません。分かっていませんけれども、おそらくは去年の暮れあたりから武漢の中で人に感染を始めたのでしょう。

発見当初は「たかをくくられていた」

感染経路について、当初は「ヒト–ヒト感染はほとんどしない」と考えられていました。動物から感染するだけで、まあ大した問題じゃないだろう、というふうに、割とたかをくくっていたんです。それが2020年になって、だんだん患者さんが増えてきて、どうもヒト–ヒト感染するようだ、ということが分かってきました。

武漢でものすごく患者さんが増えて、そうこうするうちに春節……中国のお正月休みの時期に突入してしまいました。

日本でもインバウンド商戦に絡めて知られるようになりましたが、春節にはたくさんの人が移動します。上海や北京など中国各地の大きな都市、それから香港、あるいは日本などの他国にもたくさんいる中国人が激しく移動し、それに乗じて武漢の外へと感染が拡がっていったわけです。

そして現在のような世界的な大問題になり、2020年3月12日にはWHO(世界保健機関)がパンデミック宣言を出しました。

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