ネット上の「北海道物産展」に注文が殺到した訳 応援消費の現状と"その先"を見据える

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「オンライン北海道物産展」に注文が殺到した背景とは?(画像:オンライン北海道物産展HPより)

例年、3月~5月に全国の百貨店などで開催される北海道物産展。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、そのほとんどが中止を余儀なくされている。

こうした中、4月10日にオープンした通販サイト「オンライン北海道物産展」が反響を呼んだ。

同サイトが販売したのは、北海道の食品事業者の商品を詰め合わせた「お楽しみセット」。3000円、5000円、8000円、1万2000円(すべて送料無料)と4種類設けたが、商品紹介は一切なし。届くまで中身がわからないにもかかわらず、販売から1週間で約1万1000件の注文が殺到したという。

同サイトは、異業種が手を組み立ち上げた「スマイルマルシェプロジェクト」という企画によるもので、物産展の中止や大口取引先の減少などで苦境に立つ北海道の食品事業者の支援を目的としている。

聞けば準備期間はわずかだったというが、なぜこれだけうまくスタートできたのか。同プロジェクトをプロデュースする“応援団長”の脇坂真吏さんに話を聞いた。

イオンやヤマトなどと一緒に最速始動

大きな販路を突然失ったり、自粛に伴う観光客の減少により地元での販売も困難。在庫を抱え、売り上げ回復のメドが立たない──。

「スマイルマルシェプロジェクト」応援団長の脇坂真吏さん。本業は農業・マルシェプロデューサー。都内4カ所で開くマルシェの運営や、北海道の八百屋や小売店3店舗の経営、北海道東神楽町の農業プロデュースを手がける(写真提供:脇坂真吏さん)

そんな北海道の食品事業者たちを「なんとか支援できないか」と、イオンモール旭川駅前店とヤマト運輸北海道支社が立ち上がり、脇坂さんに協力を求めた。これがこのプロジェクトの始まりだ。

まずは、イオンモール旭川駅前店に特別店舗を設けることに。同店が備品を貸し出すほか、家賃の一部や什器・看板の施工費などを負担した。

そして、インターネット通販でも食品事業者の商品を売っていくことにした。販売委託方式で手数料は一律30%。売り上げの入金は、月末締払いのほか翌週払いも選べるようにした。

「最初に決めたのが、事業者の苦境が長引かないよう、とにかくスピード感をもってやるということ」(脇坂さん)

その目標通り、3月29日の初回打ち合わせから1週間ちょっとでサイトをオープンした。ウェブサイトの設計から商品選定、配送の手配まで膨大な準備があるなか、このスピードはちょっと驚いてしまう。

実は、応援団長である脇坂さんの本業は、赤坂や丸の内など都内4カ所で開くマルシェの運営や、北海道の八百屋や小売店3店舗の経営、そして農業プロデュースだ。コンセプトやスキーム設計はお手の物。1日で練り上げた。また、自身で通販サイトも運営していたため、今回はそこに特設ページを設ける形をとった。だからサイトオープンをスムーズに実現できたのだ。

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