投資用マンション、コロナで「カネ詰まり」危機 融資継続のお達しでも「対面」自粛が痛手

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外出自粛の余波は投資用マンションにも忍び寄る。写真はイメージ(撮影:今井康一)

「金融機関から融資を断られてしまった」。都内の投資用マンション販売業者はこぼす。「コロナの影響で金融機関が人員を減らした結果、ローン契約の受け付けが絞られている」。

投資用不動産業界が、新型コロナウイルスの影響に揺れている。一般的に物件を購入する際、ローンの申し込みや面談、契約などは対面で行われている。ところが、緊急事態宣言の発令に伴い、金融機関が出勤する従業員を抑制。融資に携わる人員が削減された結果、融資が下りるまでに時間がかかったり、融資を断られたりしているのだ。

新規受け付けを停止

信販大手のクレディセゾンは、緊急事態宣言の発令期間である4月7日から5月6日まで、投資用不動産ローンの新規受け付けを停止した。申し込み済みの案件でも、4月7日までにローン契約が締結されていなければ、5月7日以降の対応となる。「従業員の外出自粛に伴い、案件の処理能力が低下するため」(同社)。

申し込みを受け付けている金融機関でも、「通常時よりローン審査に時間がかかっている」(ソニー銀行)。従業員の手が回っておらず、1日当たりの案件数に制限を設けたり、締め日を前倒ししたりする金融機関もある。

コロナ禍に翻弄されるのは、物件販売にかかるローン契約だけではない。都内で投資用の1棟マンションを開発するフェイスネットワークは、「マンション開発に対するプロジェクト融資にも時間がかかっている」と話す。

一方で、物件を購入する投資家の反応はどうか。一部では景気不安を受けて手元資金を厚くしようと投資を手控える動きがあるものの、投資用マンションの販売・管理を行う日本財託は、「将来不安から資産形成への意識が高まっており、投資家の引き合いは強い」と話す。

だが、ここでも外出自粛が影を落とす。投資用マンションの販売業者にとって、資産運用や節税と銘打ったセミナーが集客の柱だ。参加者の中から見込み客に営業をかけ、個別での説明を通じて成約へとつなげていく。だが集客の柱であるセミナーは「3密」の象徴であり、各社は営業手法を変更せざるをえない。投資用マンションを開発・販売するプロパティエージェントは、対面だったセミナーをオンラインへと切り替えたが、「物件視察などの商談が先延ばしになっている」。

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