コロワイドが大戸屋に「株主提案」を行う真意 なぜ役員刷新か、野尻社長120分インタビュー

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コロワイドは大戸屋ホールディングスに役員の刷新を要求している(記者撮影)
外食大手のコロワイドは、約19%を出資する定食屋の大戸屋ホールディングス(以下、大戸屋)が6月25日に開催する株主総会で、経営陣の刷新を求める株主提案を行うことを決めた。
コロワイドは、2019年10月に大戸屋の創業家から発行済み株式の18.67%を約30億円で取得(現在は19.1%)、筆頭株主として大戸屋と経営再建について協議したものの、大戸屋が独自の経営立て直しを主張し、具体的な話し合いが進まなかった。そこで、コロワイドが主導して再建を目指す方針へと転換した。
具体的には、取締役の刷新を提案。コロワイドの蔵人賢樹専務と澄川浩太取締役のほか、弁護士などの社外取締役、大戸屋の実質的な創業者で2015年に亡くなった三森久実氏の長男・智仁氏を含めた7人を候補にする。大戸屋の窪田健一社長や山本匡哉取締役ら現在の取締役のうち5人も候補とするが、コロワイド側で取締役の過半数を握る方針だ。
またこの間、大戸屋の株主に対し、3000円相当のグループで使える食事券付きで、コロワイドのグループ入りを問うアンケートも実施している。
株主提案に至った背景、そして今後、大戸屋の再建をどのように進めるつもりなのか。コロワイドの野尻公平社長が東洋経済の単独インタビューに応じ、株主提案に至る経緯とその思いを語った。

あまりにも危機感が乏しい

――どうして大戸屋に株主提案に至ったのですか。

きっかけは、昨年11月に発表された大戸屋の2020年3月期の第2四半期決算だった。既存店売上高が思わしくなく、業績も前期と比べてさらに悪化していた。これに対して大戸屋は、「経営改善計画」を発表し実行するとしていたが、その実行可能性や原資についてはなはだ疑問が残るものだった。株を取得して筆頭株主になってから半年以上、経営改善が何も進んでいない。このままではまずいと思った。

そもそも当初は、業務提携と資本提携(M&A)の両にらみだった。業務提携の範囲でコロワイドのインフラやシステムを使い、メリットを感じてもらうつもりだった。ところが、あまりにも危機感が乏しいため、昨年12月27日に大戸屋の窪田健一社長と面談した。「従来は業務提携とM&Aの両方を選択肢と考えていたが、M&Aにかじを切って考える」と申し上げた。それに対し、窪田社長の返事は「独自性・独立性を維持したい」と明確な拒否だった。

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