キックボードをシェア!?世界の今どき移動手段

日本への普及のハードルは、法律と道路事情

実際の使用感はどうなのか。筆者は2019年4月、アメリカ西海岸サンノゼにおいて何度か利用する機会があった。

サンノゼには、筆者が専門とするマーケティングのカンファレンス参加のため滞在していたのだが、宿から会場まで1マイル(約1.6キロ)近く離れていた。もちろん歩いても行けるが、カンファレンスの朝は早い。

終日みっちりプレゼンを聴講して、へとへと状態で宿に戻ると、時差の関係でそこから日本の仕事がスタート。この生活が会期中続く。少しの時間でも惜しかった。

アプリを開くと周辺で利用可能な電動キックボードが表示される(画像:Limeサービスページ)

選択肢としてはタクシーや配車サービス「Uber(ウーバー)」も当然あるが、利用には距離が短すぎる。そこで電動キックボードが選択肢として浮上する。筆者が利用したのは先に述べた「Lime」というサービス。

電動キックボードは街中いたるところに乗り捨ててあり、アプリで探さずとも交差点を見渡せばすぐ目に飛び込んでくる。初乗り1ドル(2020年3月27日時点で、約108円)。そこから利用時間に応じて課金される。10分弱で2ドルちょっと。アプリで「終了」ボタンを押し、道に停めた電動キックボードをスマホで撮影すれば、決済完了となる。

日本への普及のハードルは法律と道路事情

「なんと便利な乗り物なのだろう」と率直に感じた。タクシーより安い。所要時間は徒歩の半分以下。そして利用者の多くが口にすることだが「乗っていて楽しい」。公共交通機関で長距離移動したあと、目的地までの「ラストワンマイル」を埋める移動手段は何か、という議論が起こって久しいが、電動キックボードはまさに「ぴったり」の移動手段であると感じる。

(写真左)ハンドルの近くにQRコードが表示されている(写真右)サンノゼではいたる場所に電動キックボードが置かれており、市民生活に深く浸透していることがうかがえる(撮影:田中森士)

無事カンファレンス会場に着き、電動キックボードを停めたところ、それを通りすがりのスーツ姿の男性がおもむろにスキャン。颯爽とダウンタウン方面に消えていった。さすがシリコンバレー。キックボードが人々の生活に深く浸透していることがうかがえる。

便利な電動キックボードだが、日本で広がる可能性はあるのか。個人的な見解であるが、現時点ではいくつかのハードルがある。ポイントは、法律と道路事情だ。

次ページ日本では「原動機付自転車」になる
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • ドラの視点
  • 精神医療を問う
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT