東京の感染急増と医療逼迫で残される自衛の道 「ロックダウン」のデマ情報も拡散したが…

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外出自粛要請がなされた3月29日の東京。桜満開後51年ぶりの降雪にも見舞われた(東洋経済オンライン編集部撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。それも東京が顕著だ。

小池百合子東京都知事が、先週末の外出の自粛を求めた28日の土曜日には、都下の新規感染者が63人、翌29日の日曜日には68人と、それまでの記録を更新し、3月31日には78人を記録。4月2日には97人に急増して、もはや3桁に迫る勢いだ。翌3日も89人で推移している。全国的に見ても、連日200人を超すペースで感染者が増えている。

今週末は2週間前の3連休で外出が増え、花見などで気を許した結果が出てくることになる。東京の場合、1日に3桁の感染者がいつ報告されても不思議ではない。

後手後手の対応ではなく先手の対応を

28日の土曜日の昼、短い時間ではあったが、私は取材者として新宿の街を訪れた。いつもなら賑わう新宿駅東口の界隈は、アルタが閉まっていたこともあって、閑散としていた。ゴジラが見下ろす歌舞伎町界隈も人通りはまばらだった。

3月28日の新宿・歌舞伎町界隈の様子(筆者撮影)

私がかつて取材したSARS(重症急性呼吸器症候群)の蔓延した当時の台湾や中国の街の風景に似てきた。その経験から、当時の模様を新宿や銀座から人が消えることに例えて以前は書いたが、今回のウイルスの感染拡大で、それが現実に近づいたことになる。

4月1日からは、国会で安倍晋三首相をはじめ全閣僚がマスクを着用するようになった。NHKをはじめとするテレビ各局では、示し合わせたように、報道番組のキャスターがお互いの距離をとってニュースを伝えるようになった。いわゆる「3密」の密集、密接を避けるためだ。さすがにスタジオの密室はどうにもできないようだ。

しかし、それも感覚やタイミングがずれている。ここへ来て感染者が急増して、そんなことをしても遅すぎる。するのなら、もう1カ月早くすべきだった。

それどころか、安倍首相は3月19日から27日までの9日間、合計7回にわたって首相官邸に外部から幅広い業界の関係者を毎回複数人招き「新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング」を行っている。それこそマスクも着けずに、密封された会議室に記者も集まる密接、密集の空間を作っていたありさまだ。

週明けの30日には、小池都知事が会見を開き、先週に引き続き「感染拡大を抑えられるかどうか、その重大な局面にある」としながら、こう呼びかけている。

「感染経路が不明な症例のうち夜間から早朝にかけて営業しているバー、そしてナイトクラブ、酒場など接客を伴います飲食業の場で感染したと疑われる事例が多発している」

そこで若者にはカラオケやライブハウス、中高年にはバーやナイトクラブなど接待を伴う飲食店への出入りの自粛を求めた。

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