コロナビール「実売値」に見えた風評被害のウソ 日本では販売落ち込む今の時期にむしろ好調

✎ 1〜 ✎ 79 ✎ 80 ✎ 81 ✎ 最新
拡大
縮小

まず見ていただきたいのは、ビール全体の売上数量だ。これは、1店当たりのビールの売上点数を示している。

ビールは、春先の宴会需要、真夏の暑気払い需要、そして年末年始の年越し年明け需要で盛り上がる。前年比で少しの違いはあるものの、ここ2年はほぼ似たような動きだ。

そもそも、ビール業界全体としては、現在(2月から3月)はけっして好調な時期ではない。実際に2019年も2020年も、そのような推移となっている。

これに対して、同期間におけるコロナビールの売上点数を見てみよう。

絶対値は小さいものの、今年2月以降、明らかに売上点数が伸びているとわかる。1店当たりの売上金額で見ても同様で、新型コロナウイルスの騒動と重なる。

大幅に値引きされた様子はなし

念のために、この購買数の急増が、大幅な値引きによるものではないと見ておこう。価格の下落があれば、訴求性が上がり、それが購買につながった可能性も否定できないからだ。

これも結果でいえば、ほとんどコロナビールの平均売価は変化していない。グラフも縦軸をどの単位にするかでだいぶ印象が変わるものだが、非常に小さな幅で見てみても、ほとんどその売価に変化はないと理解できる。

日本でもコロナビールが販売不振であると書いた記事の著者が、どのようなデータを確認したのかがわからない。しかし、私がPOSデータを確認した結果では、むしろコロナビールが好調であると示す内容となった。

仮説であるが、次の3つの可能性が考えられるだろう。

次ページ連呼されることで無意識に認知された?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT