「King Gnu」の音楽が別格的人気を得た理由 「上手くて美味くて巧い」音楽性の魅力

✎ 1〜 ✎ 29 ✎ 30 ✎ 31 ✎ 最新
拡大
縮小
2019年2月28日に公開されたKing Gnuの楽曲「白日」は公開1年で1億7000万回以上再生されている(画像:King Gnu official YouTube channelより)

東洋経済オンライン読者でも「King Gnu」の文字列を見て「キング・グヌー」と誤読する人は、さすがにもう少ないだろう。

この連載の一覧はこちら

昨年『白日』が大ヒットし、NHK『紅白歌合戦』にも出場。1月15日に発売されたニューアルバム『CEREMONY』も大ヒットと、今や日本の音楽シーンを制圧した感のある「キングヌー」(動物の「ヌー」から命名されている)である。

今回の「月間エンタメ大賞」では、King Gnuの魅力を分析してみたい。その魅力とは「上手くて美味くて巧い」音楽性だと、私は考える。

彼らの持つ音楽家としてのテクニック

まず注目するのは「上手さ」である。音楽家としての確実なテクニック。

メンバーの経歴で目を見張るのは、作詞・作曲を担当する中心メンバー=常田大希と井口理が東京芸術大学出身という事実。

ボーカル担当の井口理が声楽科出身というのはともかく、常田大希は何と音楽学部器楽科チェロ専攻で、ニューアルバム『CEREMONY』のクレジットでも、担当が「ギター、ピアノ、チェロ、コントラバス、プログラミング&ボーカル」だから忙しい。

ほかのメンバーについても、2月23日放送のTBS・MBS系『情熱大陸』では、ドラムスの勢喜遊が、昔から通っている六本木のバー「Electrik神社」でセッションに参加している姿や、ベースの新井和輝が地元・福生のバーで「俺の音楽の生みの親」と表現するギタリスト・斎藤デメらとの演奏に興じる姿を映し出していた。

平成の音楽シーンは「テクニック冬の時代」だった。演奏技術はデスクトップへの入力データに置き換わった。しかしその反動で、フェスブームなど生演奏への渇望が発生、しっかりとしたテクニックで、音楽を奏でられるバンドが求められることとなった。King Gnuは、クラシックやジャズの素養も活かして、そのニーズに真正面から応えている。

驚いたのは、昨年末『紅白歌合戦』で生演奏を披露したことだ(井口理がラジオ番組で「生演奏」だったと明言)。最近の『紅白』は、さすがに「口パク」は少ないものの、演奏に関してほとんどがカラオケなのだが、そんな中、生演奏に果敢に挑んだ彼らの姿に、演奏テクニックへの確かな自信を感じたものだ。

次ページ彼らの音楽の「美味さ」にも注目
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT