日米の株価が「底値圏」に達したと言えるワケ 「底値」と「底値圏」は違うことに注意が必要

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トランプ大統領は「国家非常事態」を宣言。このあと株価はどうなるのか(写真:ロイター/アフロ)

前回のコラム「日経平均株価は『2万円』では下げ止まらない」では、ひとことでいうと、以下のように述べた。すなわち、世界的な株価下落の本質的な要因は「ブラックスワン」(具体的には新型コロナウイルスの流行)ではなく、日米の株価が高値にあった時に「それは織り込み済みだ」と多くの投資家が軽視していた「灰色のサイ」が暴れだしたことによるものだ、と分析した(ブラックスワン、灰色のサイについては前回のコラムを参照されたい)。

アメリカ株の「割高な状況」は「解消」した

その灰色のサイとは、具体的には次の2つだと解説した。

1)アメリカの景気や企業収益が低迷しているにもかかわらず、過度の楽観から同国の株価が上昇し過ぎて、極めて割高な状況にあった。
2)新型肺炎が流行する前から、日本経済や日本企業の収益が、悪化基調を鮮明にしていた。

そして前回のコラムでは、1)と2)に基づいた下値の試算を提示した。前回と一部重なるが重要だと考えるので、直近のデータを踏まえた新しい試算値も含めて、再度解説したい。

結論は「日米の株価は『底値圏』に達した」、ということだ。

1)に基づけば、アメリカの株価の割高さが解消されれば、株価下落は終わることになる。割高かどうかを判断する基本的な指標は、PER(株価収益率、株価÷1株当たり利益)だ。

そこで、S&P500指数ベースの予想PER(1株当たり利益は12カ月先までのアナリストの予想値を米ファクトセット社が集計したもの、週平均値)を見てみよう。すると、今年2月21日(金)の時点では19.0倍と、通常S&PのPERが推移するレンジである15~17倍の上限を、大きく超えていた。

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