新型コロナ、国際列車が運ぶ「地続き」欧州の危機 イタリア大幅減便、各国でキャンセル無料に

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新型コロナウイルス感染拡大によるイタリア北部の移動制限発令後、ミラノ中央駅でマスクをしたまま抱擁するカップル=3月8日(写真:ABACA PRESS/時事通信フォト)

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。中でも欧州大陸は現在、感染者数が急速に増えている地域の1つとなっている。

欧州で最初に感染者が確認されたのはフランスで、1月24日だった。欧州と中国の各都市を結ぶ航空便は比較的早い段階で運航停止となったが、この時点では、欧州域内での移動についてとくに制限は出されていなかった。1月29日にはドイツで、31日にはイタリアで、それぞれ初の感染者が確認されている。

その後、イタリア北部での感染者が爆発的に増加。これを受けてイタリア政府は3月8日、ミラノやベネチアといった大都市を含む同国北部地域への国内・国外からの移動を制限し、事実上封鎖することを決めた。3月12日時点で感染者は1万5113人、死者は1016人という非常事態となり、現在は移動制限を全土に拡大している。

高速列車の大半を運休

政府の決定を受け、イタリア国内の旅客列車を運行するトレニタリアは3月9日、国内を走る高速列車のうち76%の運休を決めた。ただし完全に運休はせず、必要な移動手段として最低限の列車は運行している。

イタリアの高速列車フレッチャロッサ。国内の移動制限発令を受けて運行本数が削減され、消毒などの対策が強化されている(筆者撮影)

運行する列車については清掃時の消毒を強化し、各車両に乗客が使用できる消毒液を設置した。また、保険当局が推奨する各個人間の距離(2m以上)を保つため、予約システムは各座席が数列おきに予約されるようにプログラムを変更している。

通常は上級クラスで提供している車内でのウェルカムドリンクサービスは中止し、ビストロ車では飲み物の販売など、最低限のサービスを提供するとしている。駅の上級クラス向けラウンジはすべて閉鎖となっている。

同じルートを走る民営の高速列車「イタロ」についても、トレニタリアとほぼ同様の措置となっており、運行スケジュールの変更、ラウンジの閉鎖、および車内でのサービス中止がアナウンスされている。

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