部下に「目標を問う」のが今どき流行らない背景 上司が無意識にやりがちな「WILLハラ」とは

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社員が夢や目標にプレッシャーを感じずに、自己実現をかなえる方法はあるだろうか(写真:Gajus/iStock)

新型コロナウイルスの問題で新卒社員もリモート勤務が続く。4月で新卒研修のネタも尽き、配属もままならない中で、5月のGW明けどのようにして新卒を育成したらよいかという相談がわれわれにも激増している。

実はこんな中で、非対面で先の見えない今だからこそ、現場で上長が行う「WILLハラ」という新しいハラスメント概念(と、筆者は呼び始めた)に当てはまるケースも散見されてきている。

そこで今回は、リクルートグループ向けを含め多くの企業に、組織・人材のコンサルティングや若手育成を多数手がけるエッグフォワードの視点から、近年起こっている「WILLハラ」(ユメハラスメントとも言う)について解説。原因と対処法をお伝えしたい。

読者のみなさんも、「あなたが人生で実現したいことは何か」「仕事を通して何を成し遂げたいのか」こんなふうに問われたことはないだろうか。就活時の面接で、社員研修のワークショップで、上司との面談で……。「社員の自己実現を応援します」を採用のうたい文句にしているところもある。

夢や目標を求められることで社員が疲弊

ありたい姿(WILL)を描き、そのための能力を開発(CAN)し、そのための機会を提供する(MUST)という、Will-Can-Mustの概念を最初に打ち出したのはリクルート社だと言われるが、そのやり方を表面上、追随する形で、このような社員個人の夢や目標を起点に育成・マネジメントを行う会社が増えていった。

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実際、企業によっては「WILL」や「ありたい姿」という言葉でマネジメントのフレームに組み込まれ、社員の能力を引き出すことで躍進した企業も少なくない。

ところが、自己実現の応援で成功してきた企業でも、最近は「自分のありたい姿を掲げよう」という会話があまりされなくなったり、むしろ形式だけを運用することで、機能不全に陥るケースが増えている。つねに夢や目標を求められることに社員が疲弊するケースや、明確な夢を持てないことが悪いプレッシャーとなってしまうケースが散見されたからだ。

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