自然災害を意識しない家選びが絶対NGな理由

「浸水リスク」は不動産価格に反映されない

不思議なことに、浸水の可能性のある地域は、そうでないところと比べて、地価(不動産価格)に大きな違いが出ていません。その理由は、「多くの人がハザードマップなどの災害関連情報に無頓着だから」です。

宅地建物取引業法において、現状、不動産の売買・賃貸時に浸水想定区域などについて説明する義務はありません。情報開示の姿勢は取引現場によってまちまちです。浸水リスクが不動産価格に反映されたり、金融機関の担保評価に影響を与えていることはほとんどありません。

浸水リスクと同じく、「活断層の所在」や「地盤」「土地高低差」「液状化の可能性」「建物の耐震性能」なども物件価格に反映されていません。「自治体の防災意識」や「コミュニティの成熟度」も同様です。

不動産広告にもこうした項目は入っていませんし、売買契約書や重要事項説明書にも記載はありません。私たちは、日本の不動産市場はこの程度の成熟度で、発展途上の段階であることを、知っておく必要があります。

楽天損害保険は2020年から、住宅火災や水害、風災に備える火災保険で、国内損保で初めて、水害リスクに応じた保険料率の見直しを行うと発表しました。ハザードマップで洪水可能性などを考慮し、高台等にある契約者の保険料は基準より1割近く下げる一方、床上浸水のリスクが高い川沿いや埋め立て地等に住む契約者の保険料は3~4割高くします。こうした動きは今後広がっていくでしょう。

私たちは自ら水害をはじめとする土地のリスクを調べ、それに応じた対策を行う必要があります。今のところは浸水可能性のあるエリアとそうでないエリアの間で、価格差は見られませんが、やがては安全性に応じて天地ほどの差が開く可能性が高いでしょう。

地名で分かる?かつての土地状況

「土地の履歴書」ともいえる「地名」には、しばしば地域の歴史が刻まれています。例えば「池」や「川」「河」「滝」「堤」「谷」「沼」「深」「沢」「江」「浦」「津」「浮」「湊」「沖」「潮」「洗」「渋」「清」「渡」「沼」など、漢字に「サンズイ」が入っており、水をイメージさせるものは低地で、かつては文字どおり川や沼・池・湿地帯だった可能性があります。例えば渋谷駅周辺は、舗装された道路の下に川が流れており低地です。

内陸部でも「崎」の地名がつくところには、縄文時代など海面が高かった時代に、海と陸地の境目だった地域もあり、地盤が強いところと弱いところが入り組んでいる可能性があります。東日本大震災の津波被害で一躍注目を浴びた宮城県仙台市の「浪分(なみわけ)神社」は、1611年の三陸地震による大津波が引いた場所という言い伝えが残っています。

ほかにも「クボ」のつく地名は文字どおり窪地です。周辺に流れる川に過去、氾濫で水害に見舞われていないか注意が必要です。

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