超優秀な女子に「日本という国」が生きづらい訳

彼女たちは決して日本が嫌いなのではない

もう1人の女性は本当の意味の帰国子女。子どもの時、お父さんの仕事でアメリカと日本を行ったり来たりしていて英語を流暢に話す。

日本で大学を卒業して時価総額1兆以上の有名な日系企業に入社した。辞めるまでの数カ月間、彼女の月間残業時間は300時間近くだった。自分の健康が心配で上司にプロジェクトチームの人数を増やすのをお願いしたけど、「君が1人で全部できてるから人を増やさなくていい」と言われて断れられた。

今、彼女は次の仕事が決まらないままその会社をやめてイギリス人の彼氏と一緒にイギリスに引っ越してきた。フリーランス翻訳など、専門的なアルバイトはいくつかやっているので次の仕事をゆっくり探す余裕はある。

世界のトップ人材は日本を選ばない

こういう女性が日本を捨てて海外に来るのは驚く話ではない。データを見ればわかる。2019年の、日本の男女平等ランキングは153カ国の中で121位で過去最低となった。残業が多い一方、生産性は低い。仕事で自分の能力を活かせない上に仕事と結婚の両立は難しく、子どもを産んだ後の出世はもっともっと難しい。

一方で、外資系企業でのキャリアが日系企業よりはるかに魅力的。2007年に日本は世界イノベーションランキングで4位だったが、去年15位に順位を落とした。別のイノベーション・ランキングで日本はなんと32位だった。日本企業はもうニューヨークのロックフェラー・センターが買えた時代じゃない。

国籍関係なく、世界を変えている企業と世界のトップ人材と一緒に仕事をしたい人たちはニューヨーク、ロンドン、ドバイなどに集まっている。東京はもうそのメニューに入らない。特に給料のことを考えると。

断れられても断った人を恨まないのがいい、と冒頭で言ったけど、そういう意味で日本社会、日本での生活を断った女性を、日本は忘れてはいけない。彼女たちは、決して日本が嫌いなのではない。彼女たちをそう「させた」のは、日本という社会のありようそのものなのだから。

「出国子女」との関係を修復できる時間はまだある。

だけど、こういう輝いている女性に会って話すと、いつも痛感する。これってものすごい「人材流出」だと思うのに、なんで日本はもっと危機感を持たないのか?

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