ノルマに苦しむ営業マンたちの新たなる"憂鬱" 不祥事が起こる背景には構造の変化がある

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人がこれまで行ってきたことをテクノロジーが代替する時代に、営業マンが生き残る道はあるのだろうか?(写真:kikuo/PIXTA)  
「営業不要時代」とも言われる今。営業マンはいったいどうやって生きていけばいいのか?
営業マンのこれからの生き方について提唱する『営業はいらない』 を上梓した三戸政和氏が、「なぜこれから営業マン不要の時代が訪れるのか?」について解説する。

「郵便局の保険押し売り問題」がいまもって日本中の耳目を集めている。郵便局員が、顧客の不利益となるような形で保険を販売していた問題だ。牧歌的に仕事をしていると思われていた彼らに、なぜここまでして契約を取る必要があったのか。その背景には、過剰なノルマの存在がうかがえる。

郵便局では多くの局で、昨年度実績の2倍、中には3倍もの目標が割り当てられているところもあった。ノルマを達成できない職員には、「恫喝研修」「懲罰研修」と呼ばれる研修も行われていたという。

局員に課せられた過剰な営業ノルマの矛先が顧客に向かい、高齢者を中心に、必要のない保険を契約させられる。このようなゆがんだ実態が浮き彫りとなった。

「不正」と「ノルマ」の問題は郵便局だけじゃない

営業マンによる不正の問題が発生しているのは、郵便局に限った話ではない。先進的経営を行い「地銀の優等生」とまで呼ばれたスルガ銀行では、1兆円にものぼる不正融資問題が発覚。経営不振へと陥った。

同じく金融業界では野村證券も、情報漏洩など相次ぐ不祥事で苦境に陥っている。

この2社と郵便局に共通しているのが、やはり「ノルマ」の問題だ。産経新聞2018年9月18日付の記事によると、シェアハウス投資に絡むスルガ銀行の不正融資問題について、第三者委員会の行ったアンケートには、次のような回答が並んでいたという。

・「数字が出せないならビルから飛び降りろ」と叱責された
・ものを投げつけられ、パソコンにパンチされ、「おまえの家族を皆殺しにしてやる」と言われた。
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