膨らむ「河井夫妻疑惑」、安倍政権の時限爆弾に 異例ずくめの参院選支援に与党内からも批判

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2020年1月24日の参院本会議後、衛視に囲まれながら議長を出る自民党の河井案里氏(中央)(写真:時事)

桜を見る会、IR汚職に新型肺炎が加わった通常国会の序盤戦。安倍晋三首相らが「時限爆弾」とひそかに恐れているのが、公職選挙法違反(買収)疑惑での河井克行前法相と妻の案里参院議員に対する広島地方検察庁の捜査の行方だ。これまでの国会議員に絡んだ公選法違反事件からみても、結果次第では議員辞職とそれに伴う補欠選挙も想定されるからだ。

河井夫妻は、疑惑浮上後の「いい加減で無責任な言動」(立憲民主党幹部)などから、永田町やメディアで「広島のバカップル」と呼ばれている。2019年10月に『週刊文春』が河井夫妻の公選法違反疑惑を大々的に報じた際、克行氏は当該号発売と同時に法相を辞任した。

安倍首相による事実上の更迭とされたが、疑惑について克行氏は「私も妻もまったくあずかり知らない」と関与を否定し、「今後しっかり調査して説明責任を果たしていきたい」と語った。案里氏も事務所を通じて同様のコメントを出した。

2月に選対幹部が起訴との見方も

安倍首相は克行氏の法相起用に関する任命責任は認めたが、「政治家としての説明責任は本人にある」と強調。ところが、河井夫妻は直後から体調不良などを理由に国会にも登院せずに雲隠れした。

1月15日に広島地検が河井夫妻の事務所などを家宅捜索すると、ようやく記者団の前に姿を見せたが、「捜査に支障があるので、具体的な説明はできない」と述べるのみ。国会で野党から追及された安倍首相も「捜査中」を理由に踏み込んだ言及を避けた。

ただ、『週刊文春』などが報道する疑惑には具体的証拠や関係者の証言が伴っており、「これほど明白な選挙違反はめったになく、議員自身に捜査の手が伸びるのは当然」(司法関係者)とみられている。このため、永田町では「2月中にも選対幹部が起訴される」(関係者)との見方も広がっている。

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