政府の2021年度「成長率予測」はなぜ低いのか 衆院解散と成長見通しの間の「ある関係」

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2017年10月の総選挙で当選の赤いバラをつける安倍晋三首相(撮影:尾形文繁)

内閣府は1月17日、最新の「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)を公表した。この試算の指標を別の角度から見ると、違った姿が見えてくる。

中長期試算は毎年1月と7月ごろの年2回、公表されている。中長期試算は10年先の財政の姿を示すと同時に、その前提となる名目経済成長率などの経済の見通しも示される。

2021年度の成長率予測はなぜ低いのか

1月の中長期試算で、今後の名目成長率はどのように見通されたのか。図のように、技術進歩や労働参加などが進む「成長実現」と、それらがさほど進まない「ベースライン」の2つのケースに基づく名目成長率が示されている。

政府が1月に閣議決定した経済見通しによると、2020年度の名目成長率は2.1%と見込まれている。そして、政府が今後目指すシナリオは成長実現ケースである。

成長実現ケースでみると、2021年度の名目成長率は1.5%で、2.1%と見込む2020年度より低下する試算となった。その後の名目成長率は物価上昇率が上向くこともあり、3%台へと上昇する姿となっている。内閣府はこの名目成長率を計量経済モデルに基づいて試算しているが、2021年度だけ不自然な形で低下している。

ちなみに、2019年7月の試算(緑線)では、2021年度の名目成長率を横ばいの2.0%と見込んでいた。2021年度の名目成長率は下方修正されたといってよい。

これは何を示唆するのだろうか。それは、衆議院の解散総選挙の時期である。

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