夫に13億円、サムスン創業者長女が離婚へ SKグループ会長夫婦の離婚調停にも影響か

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2012年1月、サムスングループの李健煕会長とアメリカの家電見本市を訪れた李富真社長(右)(写真:ロイター/アフロ)

1兆ウォン(約1000億円)の財産分与をめぐり、5年間にわたって争われた離婚裁判にようやく終止符が打たれた。

サムスングループトップ・李健煕(イ・ゴンヒ)会長の長女で、ホテル新羅の李富真(イ・プジン)社長(49歳)と、夫で元サムスン電機顧問の任佑宰(イム・ウジェ)氏の離婚裁判の上告審で、李氏の一部勝訴判決が確定した。

「世紀の裁判」として注目され続けていたが、争点となった財産分与では任氏の財産形成への寄与度が大きく認められず、任氏が約141億ウォン(約13億円)を受け取ることとなった。

5年3カ月で離婚調停はようやく確定

李氏は、サムスングループ副会長でグループ後継者の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の妹に当たる。これまでサムスングループのホテル新羅やテーマパークであるサムスンエバーランドの経営を行ってきた。

大法院(最高裁判所)は1月27日、李氏が原告となった離婚訴訟上告審で、原告一部勝訴の判決を出した一審判決を確定させたと明らかにした。大法院は、一審判決を支持した二審判決に違法性がないと判断、任氏の上告を棄却した。李氏は2014年10月に任氏との離婚調停を申し立てていたが、5年3カ月でようやく確定したことになる。

韓国トップ財閥であるサムスングループの3代目となる李氏は、サムスンのグループ企業で一般社員だった任氏と1999年に結婚した。結婚期間は15年で、2人の間には長男がいる。任氏は裁判で「李氏の財産は2兆5000億ウォン(約2300億円)台」と主張し、その半分に当たる1兆2000億ウォン(約1100億円)の財産分与を要求していた。

一審では「子女の親権者・養育者として李氏を指定した」とし、財産分与については「李氏が任氏に86億ウォン(約8億円)を支給せよ」と決定した。二審でも「子女の親権・養育権が李氏にある」としたが、李氏が任氏に一審判決よりも55億ウォン(約5億1000万円)多い141億1300万ウォン(約13億円)を支払うよう命じた。

今回の判決は、ソウル家庭裁判所に現在係争中の財閥SKグループの崔泰源(チェ・テウォン、60歳)会長と盧素英(ノ・ソヨン、59歳)氏夫婦の離婚調停にも、何らかの影響を与えるのではないかと注目されている。

崔氏は2017年に離婚調停を申し立てていたが、盧氏は2019年12月、離婚する条件として3億ウォン(約2800億円)の慰藉料とともに、崔氏が保有するSK株の42.29%を分割することを要求した。株価で換算すれば1兆ウォン(約1000億円)を超える。盧氏は盧泰愚元大統領の長女だ。

争点は、崔氏の保有株式に盧氏がどの程度寄与したかだ。法曹界では、「現金分割が原則だが、崔氏の財産が盧氏と結婚後に形成されたと認められれば、(サムスンの任氏とは)別の結果が出てくる可能性がある」という。同時に「実質的に、財産形成の経緯を吟味する必要がある」との慎重論が大勢だ。(韓国『ソウル新聞』2020年1月27日)

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