JR西の新列車「銀河」、デザイナーが明かす魅力 割安な料金で豪華な車内、コンセプトは?

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JR西日本の新しい長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」(記者撮影)

「格好いい」――。目の肥えたプロの鉄道カメラマンたちが口々に語っていた。JR西日本が5月8日の営業運行を目指して開発を進めていた新たな長距離列車「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」がついに完成、1月25日に大阪市内にある同社車両基地で報道陣に公開された。

本来は昨年11月末にデビューするはずだったが、直前で車両の手直しが生じて公開延期に。従来の列車とはまるで異なる挑戦的なデザインの内装イメージが先行する中で、一刻も早く実物を見たいという期待がどんどん高まって取材依頼が殺到し、25日の報道公開は午前と午後の2回に分けて実施するという異例ぶりとなった。

「鉄道利用者への愛情」が形に

車両について説明するJR西日本のスタッフに混じって、車両デザインを手掛けた建築家・川西康之氏の姿があった。「鉄道マニアではありません」とインタビューで話していたが、少なくとも鉄道を利用する人に対する愛情があふれていることは間違いない。

たとえば川西氏がリノベーションを手掛け、2012年度の土木学会デザイン賞最優秀賞を受賞した土佐くろしお鉄道中村駅(高知県)は、列車の乗降時しか人がいない寂れた駅から、つねに人が集まる空間に変わった。幼稚園児たちが列車を見にやってくる。セーラー服を着た女子学生たちが宿題をしたり、おしゃべりをしたりする。

「単なる駅舎の改修であれば、土木学会で評価するには少々難しいところがあるが、これをまち再生の契機と捉えれば、同様に疲弊し続ける地方都市が参照すべき好例として高く評価できる」(土木学会デザイン賞2012講評)。

鉄道車両に対しても川西氏のスタンスは同じだ。列車に求められる機能は何かをとことん考えて、そこからデザインを創り出す。「車窓を流れる景色を楽しんでもらいたい。そのためには窓を大きくしないと」。川西氏がデザインし2016年4月に運行開始したえちごトキめき鉄道(新潟県)の観光列車「雪月花」は、国内最大級の巨大な窓が特徴。日本海や妙高山の雄大な景色を存分に堪能できる。

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