大攻勢の日本電産、定まらぬ「ポスト永守」 電気自動車向けモーターで5000億円投資

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日本電産は車載部門の拡大へ投資を強化している(撮影:今井康一)

「業績の底打ち感ははっきりした。これからは上がってくる」

モーター大手・日本電産の永守重信会長は1月23日、中国に端を発した景況感の悪化について楽観的な見方を示した。ただ、この日発表した2020年3月期の業績見通しは、小幅ながらこの時期としては2年連続の下方修正となった。翌24日の日本電産の株価は、前日比375円安の1万5200円で引けた。

「カナリア」として注目される日本電産の業績

日本電産の2019年4~12月期決算は、売上高が前年同期比3.3%増の1兆1596億円、営業利益は設備投資や買収にかかわる費用がかさみ、同23.9%減の947億円となった。下方修正後の2020年3月期の業績見通しは、売上高1兆5500億円(同5.1%増)、営業利益は1400億円(同7.8%増)を見込んでいる。

村田製作所やTDKなどより1週間程度早く決算発表をする日本電産の業績は、ほかの電子部品大手の業績を占う「炭鉱のカナリア」になぞらえられ、市場関係者の注目の的になっている。

日本電産は2019年1月、決算発表の1週間前に緊急記者会見を開き、自動車や家電など幅広い分野の受注が2018年11~12月に前年同月比で約30%落ち込んだと説明した。その後、2019年が自動車や工作機械業界にとって厳しい年になったのは周知のとおりだ。

永守氏もそのことは意識しており、今回の説明会でも景況感の解説に多くの時間を割いた。だが、「こんなにドンドン落ちたのは46年経営して初めて」と語った2019年とは打って変わり、23日の会見は強気の発言に終始した。

懸念された米中貿易摩擦についても「もう過去の話。大分なれてきた」と語り、大きな問題ではないとの見方を示した。

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