「攻めたい社長」と「守りたい経理」の残念な関係 経理担当とこんなやり取りしていませんか?

拡大
縮小
経理をブラックボックス化していませんか?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

経理が変われば、会社は劇的に変わります。会社のお金を知り尽くしている経理は、社長の経営判断を左右する情報を握っているからです。

会計士という職業柄、これまで大勢の社長にお会いしてきましたが、「数字を経営に生かせていない」社長が非常に多いことを実感しています。その原因が、社長が「数字に弱い」ことにあるとすれば、あらゆる状況に利く数字の提示を「数字に強い」経理に求めればいい話です。

経理にはその力は十分にあるはず。けれども、経理がその力を十分に発揮するチャンスをどうやら与えられていないようなのです。

社長と経理は「永遠に理解できない関係」

また、「何かやりたいことがあっても、いつも経理に反対される」という印象を社長が抱えているケースもあります。しかし、経理にしてみれば、「社長は現実を見ないで、いつも無茶な指示ばかりしてくる」と、ため息をついていたりします。

社長と経理は「お互いの強みを生かし合い、ともに夢に向かう仲間」というより「相手のことを永遠に理解できない関係」になってしまっていることが多いのです。

一方、経理の側も「数字のプロ」としての役割にこだわりがあるがゆえに、「自分の仕事は数字をミスなく作ること」がゴールだと思い込み、そこでストップしてしまっていることが少なくありません。しかし、会計数値は「出来上がったら終わり」ではなく、出来上がった数字を経営に生かすことが本来の目的です。ただ数字を作るだけでは、目的の半分しか達成できていないことになります。

数字を経営に生かせていない社長。数字を作ることだけがゴールになってしまっている経理。そして、相手のことを永遠に理解できず、不満がたまるような不幸な関係。これでは、せっかくの数字も「宝の持ち腐れ」になりかねません。だとすれば、非常にもったいない話です。拙著『会社のお金を増やす 攻める経理』から、実際にありがちな社長と経理の不幸な関係に迫ります。

次ページすぐ「それはできません」と言う経理
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT