トランプ大統領の再選のカギはイランではない 現時点で「世界経済への影響」は限定的だ

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(写真:ロイター/アフロ)

2019年末までアメリカを中心に世界的な株高が続いた。だが、アメリカが新年早々の1月3日に、イラン革命防衛隊コッズ部隊のガセム・ソレイマニ司令官を空爆によって殺害したことが嫌気され、年始は最高値更新となったアメリカ株式市場は3日に反落した。6日の大発会では日経平均株価は約450円の下落となり、2020年の日本株市場は波乱の幕開けとなった。いったん反発したものの、イランの反撃を受け、8日は再び370円下落した。

反トランプのバイアスにも注意する必要

「トランプ政権の外交政策転換で中東情勢が今後緊張化する」との懸念で投資家のリスク回避姿勢が強まった。昨年末までの主たるリスク要因だった米中貿易戦争に加えて、新たなリスク要因が年始早々に出現したと言えるだろう。アメリカとイランで高まっていた緊張関係が今後深刻になり、それが中東全般の地政学情勢をどの程度混乱させるかを見通すことは、専門外の筆者には正直難しい。想定されるだろうイランからアメリカへの反撃だけではなく、シリアなどを巡って中東を舞台に各国のパワーゲームが熾烈になると推察される。

こうした中で、不確実性が高いためだろうが、日本の一部メディアでは、今回のアメリカの軍事攻撃に関して「ドナルド・トランプ大統領による危うい賭け」と評するなど、中東情勢が大きく混乱するリスクが強調されている。ただ、アメリカでもみられるが、反トランプのバイアスを持つメディアの論調を鵜呑みにするのも危うい。実際に、今回のイランに対するアメリカの強硬な対応は、トランプ政権になってから一貫した行動とも位置付けられる。

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