「量子コンピューター」で世界はどう変わるのか Strangeworks CEOのW・ハーレー氏に聞く

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2020年以降、量子コンピューターで世界は劇的に変わる。同分野の最先端で活躍するStrangeworks CEOのW・ハーレー氏に量子コンピューターで覚えておくべき3つのことを聞く。 (写真:筆者提供)
ウィリアム・ハーレー氏は、次世代型の超高速計算機といわれる量子コンピューティングの事業化に取り組んでいるアメリカのシリアルアントレプレナー(連続して新しい企業を立ち上げる起業家)だ。2019年はグーグルが今の最先端スーパーコンピューターの性能で1万年かかる計算をわずか3分20秒で処理したことでも大きな話題になったが、量子コンピューターは2020年以降の世界をどう変える可能性があるのか。シリコンバレーの未来も含めて、コモンズ投信会長の渋澤健氏が聞いた。

最初はアップルのコールセンターのサポートスタッフ

渋澤健(以下、渋澤):まずは、今までのキャリア(職歴)について教えていただけますか。

ウィリアム・ハーレー(以下、通称のワーレーで):1993年にアップルのコールセンターでサポートスタッフとして仕事を始めました。

渋澤:えっ? 製品の仕様などでわからないことがあると電話する、あのコールセンターですか?

ワーレー:ええ、そうです。それから、オンライン・トレーニングプログラムの運営を任され、その後はR&D(研究開発)部門に移りました。1997年に退社してIBMのプリンシパル・エンジニア(上級のエンジニア)として働くようになりました。

渋澤:アップルとIBMでは、まったく異なる企業文化でしょうから、相当なカルチャーショックがあったのでは?

ワーレー:ええ(笑)、結構大変でしたがIBMでマスター・インベンター(コンピューターシステムの設計の責任者)になり、インターネット事業部門の管理を補佐するようになりました。2000年にIBMを離れ、スタートアップ(ベンチャー企業)に参加したのですが、そこは失敗に終わりました。

その後は今なおビジネスパートナーであるMike Erwin氏とSymbiotという情報セキュリティーの会社を立ち上げたのですが、当時のサイバーセキュリティーのマインドセットに挑戦するものだったためいくつもの問題に直面しました。

2010年に立ち上げたChaotic Moonというモバイル・スタジオはアクセンチュアにより買収されました。その後は、社会をよくすることに焦点を置いたテック企業を立ち上げることに関心を持ち始め、2015年に「ファイナンシャル・インクルージョン」(お金持ちでなくても金融サービス享受できること)を可能にする「Honest Dollar」というフィンテック会社を創業していました。

この会社は1周年記念の2016年に大手証券会社のゴールドマン・サックスに買収されました。このように2010年から2社を創業&売却しており、今回は3社目となります。

渋澤:さてワーレーさんは2018年からStrangeworksという新しいスタートアップを立ち上げて量子コンピューティングの事業化に取り組んでいます。なぜ、この分野に関心を持ったのですか。

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