米津玄師、2019年チャートを連覇した神がかり 「Lemon」大ヒットに、「パプリカ」もレコ大受賞

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ビルボードジャパンで主要年間チャート首位を獲得したことを受け、東京・JR渋谷駅のハチ公前口に期間限定で飾られた、米津玄師の感謝ボード(撮影:今井康一)

2018年に続き、2019年も、年間音楽チャートの1位は米津玄師(よねづけんし)の『Lemon』――。

ビルボードジャパン(運営会社:阪神コンテンツリンク)が発表する年間ヒットチャート「Billboard Japan Hot 100」(集計期間2018年11月26日~2019年11月24日)は異例の結果となった。これまで2年連続で”同じ楽曲”がトップを獲得した例はなく、アメリカ・ビルボードの60年間、そしてビルボードジャパンの10年間の歴史で初の快挙だった。

ビルボードのチャートは、CD販売枚数に加え、ダウンロード数やストリーミング再生回数、ラジオのオンエア回数、ルックアップ数(パソコンによるCD音源の取り込み)、ツイッターのツイート数(アーティスト名と曲名)、YouTubeとGYAO!のミュージックビデオ視聴回数、そしてカラオケ歌唱回数など、複数の指標を基に算出される複合チャートだ。

CDやダウンロードによる購入だけでなく、どれだけ多くの人が楽曲を聴き、視聴し、話題にして、そして歌ったのかという点を測定し、本当のヒット曲を浮かび上がらせる。そのため、何年も前に発売された曲や、発売前の新曲がランクインすることもあるのが特徴だ。

優れた楽曲、紅白、トピックの連打…

2019年の年間1位は米津玄師の『Lemon』。音楽ファンだけでなく、広く一般にも親しまれている曲で、発売は2018年3月である。ダウンロードやルックアップ、ツイッター、ミュージックビデオ、カラオケの5指標で1位を獲得した。CDシングルは35位で、ストリーミングも解禁していないが、圧倒的な強さだった。

『Lemon』はTBS系ドラマ「アンナチュラル」の主題歌として書き下ろされた。YouTubeの再生回数が2億回を記録するなど、名実ともに2018年最大のヒット曲だった。2019年も聴かれ続け、チャートを連覇できた背景には、何があるのだろうか。

優れた楽曲ということがいちばんの理由であることは言うまでもないが、要因の1つは、2018年末のNHK紅白歌合戦への出場だろう。故郷である徳島県の美術館から生中継で登場し、無数のロウソクが並ぶ幻想的な空間で『Lemon』を披露。パフォーマンスは多くのメディアでニュースとなり、インターネット上でも話題になった。すると、その直後の週に反応したのは、ダウンロードとミュージックビデオのランキング。これらを中心に盛り上がり、高い水準で数値を伸ばしていった。紅白への出場は、一般層への認知をさらに高めたと言えそうだ。

2つ目として、年間を通じてトピックを発信し続けたことが大きい。

公式サイトなどで「『Lemon』史上初の200万DL突破!」「『Lemon』カラオケランキング歴代1位!」、「2019年上半期チャートも25冠達成!」といったニュースを配信。さらにはプロデュースした『まちがいさがし』(歌:菅田将暉)が年間6位の大ヒット。同じくプロデュースした『パプリカ』(歌:Foorin)も年間7位で、2019年日本レコード大賞を受賞したうえ、米津自身も2019年8月にセルフカバーのビデオを公開(リリースなし)している。

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