文章がヘタな人は自分の思考が整理できてない

小論文を書き、リアリティを作り出してみよう

それにともなって、大学入試で小論文試験が取り入れられるようになった。大学側としては、社会や人間について、そして専門科目について、どのくらいの知識があるのか、どのくらいの文章力があるのかを見るのに小論文試験が適当だということもあって、多くの大学で導入されるようになった。

小論文を書くのに、表現の工夫などはいらない。知識があり、論理的に考える力があれば、すぐに書けるようになる。もし、論理的に考える力がなければ、しばらく小論文を書く練習をすればよい。小論文を書くために論理的に考える練習をしているうちに、本当に論理的に考えることができるようになるだろう。

本書をお読みの方のほとんどは大学受験合格を目的としているわけではないだろう。大学受験を考えてもいないのに小論文を書いてみることに抵抗のある人がいるかもしれない。だが、小論文は論理的な文章の基本だ。ブログに書かれた社会についての意見、新聞や雑誌の投稿欄に掲載されている文章などは小論文の一種だろう。

小論文を書くことによって、まず論理的な文章力が身について、社会を見る目が育つだけではない。社会についての自分なりの考えをまとめるのにも役立つ。週に1本でも社会問題について小論文を書いてみてはどうだろう。

リアリティを作り出すテクニック

ところで、小論文ではあまり重視されないが、もう一つ、文章を書く際に身につけておくべきテクニックがある。それはリアリティを作り出すテクニックだ。

小論文では、あまりリアリティは求められない。「大勢の人がイベントに集まった。その要因として考えられるのは……」という書き方でよい。だが、実際の生活ではそれでは不足だ。「周囲を取り囲む行列ができるほど盛況だった」など、ほんの少しであっても、それが目に浮かぶような説明を加える必要がある。

入社試験時に企業に提出するエントリーシートなどでも、「私はコミュニケーション力がある」と書くだけではリアリティがない。具体的にどのようなことがあったのかを少し加えてこそ、それが事実であることを読み手に訴えることができる。

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しかも、このような文章を書く力もまた、文章を読み取る力と直結する。リアリティを出す文章力を身につけるということは、小論文を読んだり書いたりする以上に言葉を自在に使って、読み手の心を動かす力をつけるということだ。深く言葉を読み取れるようになるということにほかならない。

リアリティのある文章は、作文やエッセイ、小説で大事な要素だ。したがって、実はこうした力をつけるには、エッセイや小説を書いてみるのがいい。関心のある人にはぜひ挑戦してみることをお勧めする。

だが、それは本書の役割ではないので、ここではビジネスで必要な書く力をつけるだけにとどめる。のちに説明するような技術を練習して、このタイプの文章を書けるようにしてはどうだろう。ずっと表現の幅が広がるはずだ。

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