読解力が弱い人は「言い換え」がうまくできない

状況によって表現を使い分けるのがスマート

●出題意図

話し言葉の平易で冗長な文を、新聞などで用いられる簡潔な文に改める練習だ。

もちろん、このような文体が必ずしもいいわけではなく、時にむしろ硬くてこなれないわかりにくい文になる傾向はあるが、字数を少なくでき、しかも格調高くなることが多い。日常的な砕けた表現とこのような簡潔な文体の両方を使いこなせるようにしておくことが重要だ。

この問題をきっかけにして、ふだんから、他人の話している内容を聞いて、それを少し硬めの文に改める癖をつけたらどうだろう。それを続けるうちに、豊かな語彙を身につけることになる。

こうした表現に敏感になると、文章の質にも敏感になる。書く人間は、自分がどのような文体で書くかによって、それがどのようなターゲットに向けて、どのようなものとして書こうとしているかを示している。砕けた文体を用いるか、それとも漢語を増やして硬い文体にするかを意識している。読解においても、もちろんそれを敏感にキャッチすることが必要だ。

実際にそれを使ってみることによって、そのようなニュアンスの違いもまた身につけることになるだろう。

言い換え表現はさまざま

●解答例
(1)その是非について熟考したい。/ことのよしあしは熟慮後に判断したい。
(2)先日、人気(ひとけ)のない夜道を帰宅中、向かい側から未知の男が来て、眼前で立ち止まって私を凝視した。
(3)従来の会社の方針に納得できないので、課長にその件は遂行しないと言明した。/昔からの会社のやり方に不賛成なので、私は課長にそのようなことはしたくないと言い切った。/従来の会社の方針が不合理に思えるので、課長にそのようなことは気が進まないとの拒否の意を伝えた。/旧態依然とした会社のやり方が私には合わず、課長にそれについては断りを申し出た。
(4)日本中の各地方都市に同様の店や光景が見られるが、都市ごとに異なる光景があってもよい。/日本中の地方都市が画一化しているが、都市ごとの個性がほしい。/日本各地の地方都市が一律化しているが、都市ごとの光景が望ましい。
●解説

「それがよいことなのかどうか」を「ことのよしあし」、「ちゃんと考える」を「熟考する」などと、もっと別の表現はないかを考えてみる。あるいは一つ一つの言葉を改めるのではなく、ひとかたまりの部分を別の表現にできないかを考えてみる。

(4)など、「同じような店があって、どこでも同じような光景が見られるようになった」をまとめて「画一化している」「一律化している」などと表現できる。また、「都市ごとに別の光景があってもいい」ということも、「個性がほしい」「異なる光景があってよい」「個性があったほうが望ましい」と言い換えることができる。このように大胆な言い方をすることによって表現の幅を広げることができる。

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