読解力が弱い人は「言い換え」がうまくできない

状況によって表現を使い分けるのがスマート

私が、言葉を使えるようにするために鍛えているのは「言い換え力」だ。

人は言葉によって人の能力や人柄を読み取る。その際、手掛かりになるのは、ほぼ同じような内容をどのような表現を用いて語るかだ。

「俺、そんなこと知らねえよ」というのと、「僕、そんなこと、知らないです」「私はそのようなことを存じ上げません」「私はその件についての知識を持っておりません」というのでは、まったくニュアンスが異なる。

人はそのような文体を使い分けて生きている。同じ人間でも、状況によって、相手によって、自分の気持ちによって、表現を使い分ける。その場にふさわしい言い方をする。

そして、話している相手にそのような自分をアピールする。

あるいは逆に、そのような言葉を聞いて、人は他人を判断する。そのような表現によって、その意味内容を理解するだけでなく、「この人は気さくな人だ」と思ったり、「下品な人だ」とか「知的な人だ」と思ったり、「油断できない」と思ったりする。会話というのは、相手にそう思わせようと思ったり、それに失敗したり、つい本音を漏らしてしまったりといったことの連続であり、それをどう読むかの連続なのだ。

語彙力を養成する練習問題

以下、練習問題を用意している。もちろん、ここに示した問題だけで語彙力が養成できるわけではない。ここに取り上げるのは、日本語の語彙のほんの一部だ。

だが、ここで示された問題を頭の片隅において、日常生活を送っていただきたい。たとえば、テレビで人の言葉を耳にしながら、これから示す問題を考えてほしい。そして、「これを別の表現で言うとどうなるだろう」と考えてみてほしい。問題に取り組む。それだけでは網羅できない。そうであっても、こうした練習をすることによって、言葉に敏感になり、他人の表現が記憶に残るようになり、徐々に語彙が増えていくだろう。

問題1:次の文を、漢字熟語などを加えて簡潔な文に改めてください。
(1)それがよいことなのかどうかについては、ちゃんと考えてからはっきりさせたい。
(2)こないだ、めったに人の通らない暗い道を歩いて家に帰っていたら、向こうから知らない男の人がやってきて私の前で立ち止まって、じっと私のほうを見つめた。
(3)昔からずっと続いている会社のやり方が私にはよいとは思えないので、課長にはっきりとそのようなことはしたくないと言った。
(4)日本中のあちこちの地方都市に同じような店があって、どこでも同じような光景が見られるようになったが、もっと都市ごとに別の光景があってもいいような気がする。
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