横浜市より人口増加率高い「神奈川の町」の変化 住民も認める「特徴のない町」で何が起きたか

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人気の古民家「瀬戸屋敷」(開成町提供)

人口減少社会の現実は厳しい。最新の総務省の調査によると、全国47都道府県のうち、42道府県、1747の市区町村の8割以上が人口減少に直面している。人口が増加した市区町村は238で全体の13.6%にすぎない。こうした状況の中で、毎年人口(日本人住民、以下とくに記載がない場合は日本人人口)が増えている希有な自治体もある。

前回は、こちらの記事(『島根県の「小さな島」が3年連続人口増の裏側』)で島留学をはじめとする新たな人の流れをつくる政策に取り組む島根県の離島にある知夫村を取り上げた。今回は町のブランド化で活性化した神奈川県開成町と、那覇市のベッドタウンとして急成長を遂げている沖縄県・南風原町(はえばるちょう)の実態に迫る。

「特徴のない町」

神奈川県開成町(かいせいまち)。小田原市、南足柄市などに隣接し、東西1.7㎞、南北3.8㎞、総面積6.55㎢の神奈川県で最も小さな町である。1955年、酒田村と吉田島村が合併して誕生し、2015年に町制施行60年を迎えた。町の東に酒匂川が流れ、自然豊かな平坦地で気候穏やかな土地だ。

小田急電鉄小田原線の起点・新宿駅から41番目(終点の箱根湯本から9番目、各駅停車)にある開成駅(かいせいえき)は、2019年3月から悲願の急行停車駅となった。新宿まで急行で約1時間20分、小田原までは急行で約8分というロケーションだ。開成駅が開業したのは1985年、町制施行30周年の年だった。

新宿まで電車で1本で行ける大都会近郊の町ではあるが、開成駅から役場まで歩いて30分という情報1つみても、どこか田舎感っぽさが出ている。神奈川県といえば横浜や湘南のイメージが強い。箱根や湯河原といった温泉地、城下町・小田原も有名だ。それに引き換え、開成町といってもピンとこない人も多いだろう。過去の調査(2010年)では、町民の15%が、町のよくない点について「町の特徴がない」と回答していたほどである。

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