トヨタ「新型カローラ」受注2万台を超えた意味 見え隠れするロイヤルカスタマー離れの予兆

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2019年9月に発売されたトヨタ「新型カローラ」(写真:トヨタ自動車)

9月に発売されたトヨタ新型「カローラ」が、2018年に先行発売されていた「カローラ スポーツ」と合わせて、1カ月の間に約2万2000台の受注を得た。

日本自動車販売協会連合会(自販連)の乗用車ブランド通称名別順位で月販1万台超えをすれば首位争いできる状況であるにもかかわらず、その2倍近くの台数に達したのである。これはすごい出来事である。関係者は、ひとまず胸をなで下ろしたことだろう。

初の「3ナンバー」カローラ

なぜ「すごい出来事」なのかというと、1966年に初代モデルが誕生して以来、新型カローラは初めての3ナンバー車だからである。初代カローラは、日産自動車の「サニー」とともに大衆車として生まれ、日本のモータリゼーションの発展と拡大を支えてきた。価格も性能も消費者に身近なクルマとしての価値を持ち続け、その象徴が5ナンバー(小型車)枠に収まる車体寸法でもあった。

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国内の乗用車は、軽自動車枠のほかに5ナンバーと3ナンバーに分けられ、5ナンバー車は車体寸法で全長:4.7メートル以下、全幅:1.7メートル以下、そしてエンジン排気量は2.0リットル(ガソリンエンジンの場合)までという制約が設けられている。この枠組みに入れば、自動車税が抑えられてきた。

1990年度から税制が改訂され、5ナンバーと3ナンバーの税額の差が縮まり、日本車の3ナンバー化が進んだ。1989年度まで、エンジン排気量が2.0リットルを超えると自動車税額は8万1500円以上(以後、排気量により増税となる)となり、5ナンバー車の約2倍以上であったのだ。

左:初代「カローラ」、右:11代目「カローラ アクシオ」(写真:トヨタ自動車)

それは、3ナンバー車がぜいたく品扱いであったため。1979年までは、クラウンでさえ5ナンバー車であった。この税制改定は、当時のバブル経済が後押しにもなったはずだ。

カローラが大衆車であるとの意識はトヨタ内にもずっとあり、海外向けカローラは2006年に3ナンバーサイズになっていたが、国内では2012年に登場した先代モデル(11代目)まで5ナンバーサイズを維持してきた経緯がある。ではなぜ、今回12代目となる新型カローラで3ナンバー化へ踏み切ったのであろうか。

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