会話を「スマホに頼りすぎる人」の危うい思考

同調できているようで実は成立していない

もちろん「ヤバい」に値する出来事もあるが、「楽しい」も「開放感を味わった」も「豪華なホテルに気持ちが華やいだ」も「ステーキに舌鼓を打って満足した」も「夜景に心が安らいだ」も、それぞれ別の出来事であり、別の感情だ。それなのに、その違いを言葉を使い分けて表現することがなく、すべて反射的に「ヤバい」という3文字で済ませてしまうのである。根本的に、語るための語彙が失われているのかもしれない。

逆バージョンで「ビミョー」もある。「あの映画どうだった?」「ビミョーだった」「体調は?」「ビミョー」「来週は会えそう?」「ちょっとビミョー」。

語彙力の問題は近年注目されており、大人向けの語彙力ドリルなどが数多く出版されている。

大人向けの語彙力本。それほど自分の語彙力不足を「ヤバい」と感じる人が多いのだろう(写真:幻冬舎plus)

ただ、写真をシェアして見せて「会話の代わり」にするような手段があまりに日常的になったことで、もはや感覚を言葉で的確に表現する機会そのものが激減してしまった人が多いのではないだろうか。そうなると、語彙そのものが必要なくなってしまう。

リアルな反応までスタンプ

語る側の語彙の不足もさることながら、聞く側の反応の不足にも拍車をかけているのが、SNSの「いいね」ボタンや、LINEスタンプなどだと思う。

つまらない会話や写真が送られてきても、一応友達だったり、気を遣う相手だったりすれば、一言二言は反応しておこうという気持ちはある。ところが、そういう社交辞令すらも極限にまで簡略化して、なおかつ角が立たないように「同調」だけを示しておくためのツールが、「いいね!」やキャラクターのスタンプだったりする。

やりとりを楽しく演出したり、感情を表現したりするために使う場合もあるが、私には、ただ「とりあえずの反応」をするために使っておくことがかなりある。「ヤバい」「ビミョー」の反射的な返答とおんなじだ。

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