日高屋が「ちょい飲み」路線を転換する事情 働き方改革で既存店が失速、新業態を模索

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人手不足の影響もある。島取締役は「店舗を増やしたもののスタッフが十分に集まらず、研修も不足気味となりQSC(品質、サービス、清潔さ)が落ちた」と振り返る。

また、日高屋は24時間営業や深夜2時まで営業する店舗が多かったが、人手不足の影響で約1年半前から23時に閉店する店舗を増やすなど、営業時間を短縮。2019年3~8月期の業績を直撃した。

この状況を受けて、2019年3月から生ビールを330円(税込み、以下同)から、営業時間中いつでも290円へと値下げした。10月の消費増税時も値段を変えず、実質的な再値下げに踏み切った。それでも、10月の客数は前年同期比5%減と、前年割れの状況を改善できなかった。

ちゃんぽんやパスタ業態へ進出

成長戦略に限界が見える中で、ハイデイ日高が次なる戦略として掲げるのが新業態の開発だ。ちゃんぽんやパスタ、餃子、高価格ラーメン店を2019年12月から2020年にかけて、矢継ぎ早に出店する。

先陣を切るのはちゃんぽんだ。2019年12月に埼玉県の大宮駅近くに新規出店する。しょうゆ味やみそ味など種類を増やし、ちゃんぽんチェーン大手のリンガーハットとの差別化を図る。パスタや餃子、高価格ラーメンの新業態は2020年に出店していく。

【2019年11月29日10時59分追記】ちゃんぽんの新店について、初出時の表記を上記のように修正いたします。

高橋社長は「グループ全体で年間25店舗程度出店したいが、都内駅前のよい立地には日高屋の店舗がすでにある。よい物件情報が入っても、既存の日高屋に近いため、やむなく断るのが現状」と話す。

新たな業態ならば、日高屋と顧客を奪い合うことはない。新業態であれば新たな立地を開拓できる可能性もある。「今までは駅前一等地にこだわってきたが、今後は駅ビルや商業施設のフードコートへの出店も計画している」(高橋社長)。

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