JR「高架下」にまさかの賃貸住宅が登場する背景

ここまで進んでいる「遊休地活用」の最前線

JR武蔵小金井駅とJR東小金井駅の間の高架下には、すでに「nonowa東小金井」「nonowa武蔵小金井」という商業施設や保育園があるが、住宅はなかった。なぜ、今回、住宅が誕生することになったのだろうか。JR中央線三鷹~立川間エリアの開発を行う株式会社JR中央ラインモール開発本部の関口淳さんに聞いた。

「これまで、中央線三鷹駅―立川駅間の線路高架化にあわせ、当社では、駅周辺部を中心に商業展開を行うほか、子育て支援施設や福祉・医療施設、地域交流を促す施設、広場・公園など沿線にお住まいの方々に対し、日々の暮らしをサポートするさまざまな施設の設置を進めてきました。

そのような背景がある中、今回の建設予定地に関しては、大半が住居専用の用途地域(第一種低層住居専用地域)であったことから、都市計画との整合性と当社の使命とする中央線沿線の価値向上につながる計画を検討してきました。その結果、学生向けの住宅という切り口に至ったのです」(関口さん)

住宅を学生向けとしたのは、中央線沿線に大学キャンパスが多く、住んでいる学生も多いこと、また駅からの道がわかりやすく夜道が明るいことで、学生寮に求められる立地条件を満たしていると捉えたからだとか。

振動や騒音が気になるところ

ただ、高架下となると、ついつい気になってしまうのが振動や騒音。はたして住宅にふさわしいものなのだろうか……?

東京都による三鷹・立川間の連続立体交差事業が行われ、2010年11月に約9kmに及ぶ長大な高架下スペースが生まれたJR中央線。武蔵小金井駅と東小金井駅の間にはすでにショッピングモールや保育園がある(画像提供:JR中央ラインモール)

「振動や騒音については、現地を確認した上、高架下で開発した別の物件の状況を踏まえ、日常生活に支障がないと考え計画いたしました。また、今回の計画地の隣地(高架下)には保育園がすでに設置されており、問題なく運営されています」(関口さん)

なるほど。住宅として初の試みではあるものの、すでに保育園の園児たちが高架下の空間で生活しているという実績があるわけだ。園児たちは、午後にはお昼寝だってしているはず。赤ちゃんも安眠できる環境と考えると、納得がいく。

なお、この物件の特色は、高架下という立地だけにとどまらない。北山恒、谷内田章夫、木下道郎という3人の建築家がL棟、C棟、H棟、それぞれの設計を担当することで、共用空間と居室のつながりやバランスについてコンセプトの異なるプランを展開。住み手である学生が、他学生とどのように関わるか、プライバシーにどの程度こだわるかといった志向に応じて、自分にふさわしいプランを選べるようになっている。

【左】L棟のコモンスペース(共用スペース)として、1階にはキッチン、2階にはライブラリーが。それぞれを経由して居室に入るつくりになっており、居室はごくごくコンパクトな空間となっている。【中央】C棟は、外部テラス(アウトサイド・コモン)を共用スペースとすることで、各居室の独立性を確保。居室内には、キッチン、バス(乾燥機付き)、洗濯機、電子レンジなどが備え付けられている。【右】H棟は、大型ダイニングテーブルのあるラウンジ・コモン、ライブラリーのあるキッチン・コモンを共用スペースとして、中央のキッチン・コモンにつながる廊下から各居室に入るつくり。天井の高さを活かしたロフトも設けられている(画像提供:JR中央ラインモール)画像を拡大
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