ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由 古い常識にとらわれない価値観が単価を上げる

拡大
縮小

ところが、大方の予想に反して生卵はめちゃめちゃ売れました。それも1セット1000~3000円という、生卵としてはかなりの高値で飛ぶように売れたのです。

実は、生卵の流通には問屋や販売店など複数の業者がからむため、鶏が卵を産んでからスーパーの店頭に並ぶまで1週間くらいかかることがあります。

一方、楽天市場の生卵は生産者から消費者に直送するため、産卵の翌日には届けることができる。ネット通販だからこそ、今までは手に入りにくかった新鮮な生卵を買えるようになったというわけです。

思い込みを排除して客単価を上げる

卵の鮮度はおいしさに直結するようで、私も実際に楽天市場で「産直の生卵」を買ってみたことがあるのですが、黄身をお箸でポンッと簡単につまむことができて、スーパーの生卵とはこれほど違うものかと驚かされました。同じように感動したユーザーが多かったのでしょう、生卵はまたたく間に楽天市場の人気商品となりました。今では「生卵」で検索すると数千件近い商品があります。

しかもスーパーの生卵が1パック10個入りで200円(1個20円)程度であるのに対して、楽天市場で売られている生卵は、よく売れている価格帯のもので1セット40~80個入りで3000円(1個37~75円)程度、高級なものになると1個当たり100円以上になるものもあります。

安くて当然と思われていた生卵を市価の2~5倍の価格で、しかもまとめて大量に買ってもらうことで、客単価を大幅にアップさせることに成功しているのです。ネット直販の生卵が高値で売れるのは、鮮度や「〇〇農場直送」というように、メリットを訴求しやすいからでしょう。それにより、ふつうの生卵とは一線を画す「産地から直送される新鮮な生卵」という新しいジャンルを築いたのです。

このように、古い常識に縛られることなく新しい価値観を提供できれば、客単価を大きく上げることができます。なんらかの事情で訪問数や転換率を伸ばしにくい店でも、客単価が2~5倍になれば十分勝負できるはずです。

次ページ巧妙な値段設定とストーリーで「合わせ買い」を生み出す
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT