「結婚する派・しない派」のあまりに強烈な分断 正しさという名の下での「分断と対立」の構造

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結婚という制度はいずれなくなってしまうのでしょうか(写真:cerisier117/PIXTA)

結婚が滅亡する――。

そう言われると、どういう印象をお持ちになるでしょうか。有史以来、人類が継続してきた人類のデフォルト行動(男女がペアとなり、子をなして、次世代に命をつなげる)がなくなるのか? そんな危機感を募らせるでしょうか?

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ただでさえ、日本の未婚化・非婚化は進んでいます。婚姻数は、2018年にはついに年間60万組を割りました。歴代最高記録を打ち立てた1972年の約110万組から見ればほぼ半減です。2040年には、男性の3割、女性の2割は50歳まで未婚と推計されています。婚外子が極端に少ない日本においては、未婚化は、少子化や人口減少へと直結します。このまま結婚が減少していけば「国が滅びる」と嘆く人たちもいます。

必ず生まれる対立構造

結婚の問題とは、単に男女が婚姻関係を結ぶかどうかという部分にとどまらず、結婚によって今まで作られてきた「社会構造」「経済構造」「人間関係構造」が影響を受けるということでもあります。例えば、結婚や出産によって生成される「家族」というコミュニティは、社会的にも経済的にも人間的にも安心を提供する構造になっていました。

ところが、この「所属による安心構造」が今まさに揺らいでいます。その揺らぎによる不安があればあるほど「分断と対立」構造を発生させます。

未婚化や少子化、人口減少の話題では、必ず生まれる対立構造があります。この連載上でも、コメント欄においてよく見られます。

「結婚して子どもを産め。それが人間としての務めだ」という結婚派に対して、「結婚するもしないも個人の自由だ。古い価値観の押し付けはやめろ」という独身派の対立です。対立と書きましたが、多くは結婚派による独身派への説教に似た攻撃に端を発します。その要因は、近年急激に増大した「結婚派の危機感」ではないかと思います。

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