母子家庭向け「シェアハウス」に注目集まる背景

保育園と洗濯代行店が併設された住宅もある

――母子生活支援施設への入居という選択もありますが。

ただ、これまでの普通の生活から施設に入居するのは抵抗がある人も多いように思います。また、より状況が深刻なDV被害者が優先的に入る傾向もあり、入所希望は簡単に受け入れにくいと聞きます。結局、子どもを連れて実家に帰ったり、友達の家を転々としたりというシングルマザーは多くいると感じます。

好立地にシェアハウスが多い理由

――そんな中で、シングルマザー向けのシェアハウスが注目されていますが、いつごろから登場したのでしょうか。

若者や外国人向けシェアハウス運営をしてきた不動産事業者に、シングルマザーからの入居相談が増えたことなどがきっかけと言われていますが、私が最初に出合ったのは2008年でした。学習支援や学童保育を担う企業が、当時、増えてきた空き家を活用してシェアハウスを運営しました。社会貢献性を世の中にアピールできることも目的だったかと思います。

実際に、国内外に住むシングルマザーから問い合わせがあるほどニーズはあったと聞きましたが、結局1年も経たずに終了してしまいました。原因は、近くの保育園が満床で入れないなど、シングルマザーが暮らすには不便な立地だったのです。インフラを考えずに進めたゆえの失敗でした。

そうした失敗を生かしながら、さまざまな企業や起業家の方々が今もシングルマザー向けのシェアハウス事業に乗り出していきます。今はシングルマザー向けとうたっているシェアハウスはおおよそ30件ほどあり、そのほか、多世代型のシェアハウスにシングルマザーを受け入れているケースも複数あります。

数々のシェアハウスを取材しましたが、そこで思ったのは、圧倒的に利便性の高い立地ではないと、このビジネスを成立させるのは難しいのではないかということ。実際にシングルマザーに人気のシェアハウスは、東京都新宿区の新宿まで自転車で10分の団地や、東京都渋谷区の代官山から徒歩1分、閑静な住宅街などが並ぶ東京都世田谷区といったエリアです。

――かなり家賃が高そうな気がします。

家賃は当然、都心か地方かによっても異なります。安いところだと地方で2万6500円からという物件もありますが、平均して3万5000円ぐらいから5万円ぐらいでしょうか。都心のシェアハウスでは、15万円という家賃の物件もあります。最初は私もこんな価格では入居する人は少ないのでは?と思いましたが、予想に反していつも満室です。

ただし、15万円の内訳は、平日の食事や保育園のお迎え、21時までのベビーシッター手当なども含みます。

実は年収300万円前後から、シングルマザー向けの公的支援はほとんど使えなくなり、高額所得でも税金などが高くなるため、生活が苦しくなりがちです。

次ページ高く見える家賃ですが…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • 埼玉のナゾ
  • 日本野球の今そこにある危機
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 僕/私たちの婚活は今日も終わらない
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
変わる日立<br>IoTで世界へ挑む

日本を代表する巨大総合電機企業が今、「脱製造業」ともいえる動きに舵を切っています。攻めの主役は「ルマーダ」。社長の肝煎りで始まった独自のIoT基盤です。データを軸にGAFAと組むことも辞さないという改革の成否が注目されます。