トランプが「弾劾騒動」をあえて煽っている意味

自国の官僚や捜査当局を信用していない

トランプ大統領が外国政府の「助け」を借りようとするのはなぜか(写真:TriggerPhoto/iStock)

米議会下院が着手した弾劾訴追調査の渦中にあるトランプ大統領にとって、弾劾騒動は千載一遇のチャンスなのかもしれない。これを奇貨として政敵潰しに邁進しているからだ。2020年大統領選で現在、民主党の先頭を走っているバイデン前副大統領の目は消えるかもしれない。

トランプ大統領の罷免はまずない

バイデン氏は、オバマ政権の副大統領だった2016年当時、息子のハンター氏が役員を務めていたウクライナ最大のガス会社「ブリスマ」が検察の捜査対象になっていたため、息子を守るため職権を乱用して検事総長を解任させようとした――。トランプ大統領は、こう信じて止まない。

民主党側の「大統領の妄想」との批判をよそに、トランプ大統領は5月、自分の見立てに否定的な駐ウクライナ米大使を解任。7月には、ウクライナの大統領との電話会談で、バイデン氏の職権乱用疑惑を捜査するよう求めた。その際、対ウクライナ軍事援助などの見返りを条件としてちらつかせた。

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しかし、これを明白な「圧力」と受け止め、自身が大統領選で有利になるよう外国政府に支援を求めた疑いが濃厚だ、と判断したCIA職員が監察官へ内部告発、民主党が多数の下院による弾劾調査へと発展していった。

たとえトランプ大統領が下院で訴追されても、共和党が過半数を握る上院で開かれる弾劾裁判で有罪になり、罷免される可能性はゼロに近い。「受難」をアピールし、自分の岩盤支持層をフル動員する絶好の機会でもある。だから、民主党側の追及に怯(ひる)まず、バイデン親子のスキャンダルを批判し続け、弾劾騒動を大きくする方が得策だという計算が働いたのだろう。

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