「整理・整頓」にこだわる感覚が"要注意"なワケ ベストセラー作家の散らかり放題な仕事場

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整理・整頓は必要だが、それが仕事の成果に必ずしも直結することではない。その理由とは?(写真:CasarsaGuru/iStock)
『すべてがFになる』『スカイ・クロラ』など多くのベストセラーで知られる作家・森博嗣氏。工学博士の肩書も持つ理系作家ならではの研ぎ澄まされた文体や洗練された作風から、スマートな環境で淡々と作品を生み出しているイメージがありますが、活動場所は意外にも工具やガラクタで散らかり放題だそうです。
きれいに片づけたほうが仕事の効率も上がるように思いますが、『アンチ整理術』の著者でもある森氏は、「整理して面白いか?」と疑問を投げかけます。

整理に必要なのは区別

片づけには、整理・整頓的な片づけと、掃除的な片づけがある。前者は、ものが置かれている位置を管理することであり、後者は、不要なものを取り除くことである。ここでは、後者については書かない。それは、各自が自分が要求するレベル、あるいは許容するレベルで行ってもらえばいいことだ。

ものを整理・整頓するには、区別をつけることが条件となる。何と何が同じ区分に入り、それに類似したものは何か、といった「区別」が自分なりにできている必要がある。「区別」は、名前で分類するものから、用途や、時間、あるいは大きさや色、価格などの性質で分けるものまでさまざまだ。

1例を挙げる。僕の工作室で、整理・整頓が必要なものとして真っ先に思いつくのは、ネジである。工作や修理をするとき、ネジが頻繁に必要になる。ネジはその径、長さ、ピッチ、頭の形状、材質などで区別される。よく使うものだけに限っても、これらの組み合わせは膨大な量になる。それぞれを使い分けるので、いつでも欲しいものが取り出せるように、区分した場所に収納しておく必要がある。

また、区分して保管しておけば、あるネジを使うごとに、同じネジの残りがいくつくらいあるかを見ることになるから、補給をするタイミングも外すことがない。

使用頻度が高い材料や工具は、手近に置きたい。使用頻度が下がるほど、遠くてもよいが、できるだけ、探すことがないようにしたい。かといって、スペースは限られているし、材料も工具も増える一方である。

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