メルカリはアントラーズと何を企んでいるのか 親会社の社長が突然子会社の社長になった訳

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すでに7月30日、Jリーグの理事会で、日本製鉄からメルカリに鹿島アントラーズの株式61.6%が約16億円で譲渡されることが承認されたが、公正取引委員会の承認も得た。これから鹿島アントラーズは、メルカリという最先端のIT企業とともに歩んでいくことになった。

Jリーグにおいて、親会社の社長が子会社の社長になることは極めて異例。しかも、小泉はメルカリの対外的な仕事もするとはいえ、鹿島アントラーズの社長業に専念するという。

「エンターテインメント×テクノロジー」に無限の可能性

何が変わって、何が変わらないのか。小泉は言う。

「僕自身、チームについては、これまでどおり大事にしてきたフィロソフィーを守ってもらいたいと思っています。やはり、勝つことがすべてとしてやってきたジーコの教えを大事にしながら、しっかりと強化や育成に向き合いながら運営してもらいたい。まったくもって僕らが口を出す必要はないと思っています」

一方で、事業については、もっとできることがあるともくろんでいる。

「秀樹さん(鈴木秀樹取締役マーケティングダイレクター)と、“もっとこういうことができますよね”と話しているだけで楽しくてたまらない。何十個もいろいろな案が出てくるんです」

「これまでスポーツ業界には、テクノロジーが入って来ていません。もしくは、入り始めたフェーズだと思っています。これからが面白いんじゃないかなと。今、インターネット業界がサッカー業界に出資をし始めています。それは、嗅覚がいい人たちが、エンターテインメント×テクノロジーというものに対して無限の可能性を感じているからです」

13歳にして鹿島アントラーズのとりこになったという小泉社長(中央)。最高のアイディアマンである鈴木秀樹取締役(右)、ジーコの薫陶を受けた鈴木満常務(左)とともに、世界を驚かせる(筆者撮影)

どういうことだろうか?

「スポーツが持っている価値は非常に大きいと思っていますし、テクノロジーを使うことで、スタジアムに行かなくても感動が得られたり、行ったときには感動が2倍、3倍になるとか、日々の生活が豊かになるようなことが、もっとできるのではないか。さらにはサッカーファンをより広げていくことが可能なのではないか。リーグ最多のタイトルホルダーであるアントラーズであれば、それだけのことができると思っています」

今以上に、よりサポーターを楽しませ、チームの収益を上げることができる。そして、その収益をきちんと強化へ回して、さらに常勝軍団としての確固たる地位を築いていくことができる。そう確信しているのだ。

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