セルフオーダーなら儲かると見る飲食店の盲点

注文の役割はメニューの「伝達」だけじゃない

テクノロジーの導入によって、飲食店スタッフの接客に求められるものが変化しはじめています(写真:visualspace/iStock)
50年に1度の「パラダイム・シフト」が起きているといわれる外食業界。どうすれば自分たちのお店を繁盛店にし、将来にわたって生き残ることができるのか……。業界シェアナンバーワンを誇る予約台帳サービス「トレタ」を開発・運営する、中村仁さんの『外食逆襲論』は、外食産業に従事している人なら必読の一冊。あの堀江貴文さんをして、「これを読んだ人しか、未来の外食業界で生き残れない!」と言わしめた本書より、重要ポイントを抜粋してご紹介します。

セルフオーダーで客単価が下がる?

テクノロジーがもたらす本当のインパクトは、「合理化」ではありません。その先にある「高度化」です。

あくまで合理化は、テクノロジーを導入すると最初に起きること。単なる通過点にすぎません。合理化することで生まれた時間と、精神的、肉体的な余裕を感情労働に振り分けること。そして、テクノロジーの力を利用して人力の限界を超えることで、より高度な「おもてなし」が実現する。これが本来、私たちが目指すべき「高度化」です

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

よくある間違いが、「合理化」が目的だと思ってしまうことです。手段と目的が入れ替わっている。すると、IT化したのに売り上げが下がる、という現象が起きることもあります。

例を挙げましょう。お客様からオーダーをとるという仕事には、二つの側面があります。

ひとつは、「伝達」です。お客様の注文を正確にキッチンへ伝えること。この仕事はITツールに任せればよいでしょう。

しかし、もうひとつは人間にしかできない仕事です。お客様の注文をお手伝いするという「意思決定の支援」です。どれを注文するか迷っているお客様に、おすすめの商品をプレゼンテーションする。あるいは、そのお客様にとって最適なメニューを一緒に選んであげる。

最近、多くの居酒屋さんがセルフオーダーシステムの導入に踏み切っていますが、それで失敗しているお店をあらゆるところで目にします。なぜかというと、セルフオーダーの導入によって、注文の「伝達」と一緒に「意思決定の支援」が失われてしまうために、お客様は注文をしづらくなり、追加オーダーも入らず、結果、客単価が下がるという現象が起こるのです。

次ページ最終的な目的は「高度化」
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