来夏営業開始、N700Sは「最強の新幹線」になるか 北海道から九州まで、鉄道版「名車列伝」

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2020年夏に営業運転を始めるN700S(撮影:尾形文繁)

JR東海の最新型新幹線「N700S」の試運転が10月30日、東京から豊橋まで行われ、筆者も試乗した。“性能確認車”と銘打たれていることもあり、客室設備などはまだまだリファインの途上であった。しかし基本的な部分については、歴代の東海道新幹線の列車を開発してきたJR東海の技術陣の“渾身の作品”らしく、乗り心地はもちろん静粛性も優れているし、シートの座り心地、情報表示の見やすさなど接客設備も、さすがと思わせる出来であった。

さて、55年の歴史の中でさまざまな新幹線が登場したが、「最強」といえる車両は何だろう。新幹線には「0系」という、忘れてはならないパイオニアも存在するが、現役車両の中から5形式を、 “独断”で選んでみた。さて、読者の皆さんの評価とどのように合致するか、あるいは異なる点はあるだろうか。

「N700S」東海道新幹線用の最終形?

リニア中央新幹線の工事が本格的に進んでいる。完成すれば東京と名古屋の間の所要時間が1時間を大きく切る。そうなれば東海道新幹線をさらに高速化する必要性は薄れることになるだろう。

パイオニアとして歴史に残る0系以来、100、300、500、700系と変化してきた東海道新幹線の電車だが、新しい数字が起こされたのは700系までで、それ以降はアルファベットを追加することによって新型車であることを示すようになった。

試運転で初めて昼間の東京へやってきたN700S。都心のビル群を抜け出して新大阪へ向かう。(2018年6月23日、田町付近で筆者撮影)

その最初は2005年に試作編成が登場し、2007年から営業運転を始めたN700系だ。この電車は同じ“700”を名乗っていても、システム的には車体傾斜装置を組み込むことによるカーブでの通過速度制限を緩和するなどの大きな変化があった。

外形的にも、ひたすら長く丸かった先頭車の鼻先が、アクセントとしてのエッジが与えられ、ヘッドライトの位置も変更されたことによって、人々に新たな印象を与えることになった。

続いて2012年にはN700Aと名付けた新型車を発表した。車体傾斜装置やブレーキシステムを改良することによってさらなる性能向上を実現。それまでのN700系も、2015年にJR東海が、2016年にJR西日本がすべての編成の改造を完了させN700Aを名乗っている。改造車の編成は車体側面のロゴマークにある“A”の文字が小さいので見分けることができる。

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