わずか1年で来客数2.7倍「白馬岩岳」の再生秘話 岩岳・スキー場「絶景テラス」開業から1年

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2018年10月に開業した展望テラス「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」(撮影:稲垣泰人)

スキー人口が減り、厳しい経営に直面する全国のスキー場が、グリーンシーズンの集客を狙い、キャンプ場など観光の目玉をつくる動きが広がっている。今、その成功例として注目されるスキー場が、長野県白馬村にある。

白馬エリアで3つのスキー場を運営する白馬観光開発は、絶景テラスや山頂サウナといった、目新しい施設を次々に打ち出している。同社の狙いは何か、実際に観光客を呼び込めているのかを取材した。

1日3000人! スキーシーズンを超えた

今年8月、標高1289mの白馬・岩岳山頂に向かうゴンドラ乗り場に観光客が長い列をつくった。家族連れ、若い女性のグループ、バックパックを背負った外国人など、さまざまな国籍・年代の人たちが目指すのは、2018年10月に開業した展望テラス「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(ハクバ マウンテンハーバー)」。

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岩岳にせり出すように作ったテラスから望む、南北に広がる北アルプスの美しさがSNSやテレビで話題になった。8月のお盆の時期の利用者は最も多い日で約3000人。冬のスキーシーズンの1日の最高客数を超えた。

夏休み中の小学3年生と、4歳の男の子2人を連れて、マウンテンハーバーを訪れた富山県の40代の女性は、目の前に広がる景色を眺めた。「テレビでこのテラスを見て、10年ぶりに白馬村に来てみました。これから子どもを連れて、栂池高原のアドベンチャー施設に行ってみます」と声を弾ませた。この女性が話す、フランス発のアドベンチャー施設「白馬つがいけWOW!」は、2018年8月にオープンした。

ザ シティ ベーカリーを食べながら絶景を眺めることができる。写真は5月下旬

絶景が楽しめる展望テラスは全国にある。なぜマウンテンハーバーがこれほどまでに注目されるのか。それは、眺望だけに頼らず、質の高い食事にこだわっているからだ。

テラスには、アメリカ・ニューヨークの老舗ベーカリー「ザ シティ ベーカリー」が入っている。

日本では、東京・品川の駅ビルなど都内数カ所と、大阪、福岡の大都市圏にしか出店していない。飲食業界の関係者の間では「あのシティ ベーカリーが白馬に店を出した」と話題を呼んだ。北アルプスを眺めながら、地元の白馬豚を使ったクロワッサンサンドといれたてのコーヒーを楽しむという提案が、観光客の心をつかんだ。

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