「偽物のカワイイ私」を生み出す美顔アプリの罠

本当の自分じゃない自分に承認求める人たち

ためしに、「Ulike(ユーライク)」というアプリを使って自撮りしてみた。このアプリには、光の加減や画面の色調を選ぶフィルター機能と、自分好みのメイクを顔の上に合成する機能、そして顔の輪郭や目の大きさ、鼻筋、口元の形状を修正したり、シワやシミを消し去ったりする機能がある。ためしに、一枚撮ってみる。

どちらが真実の私か、言わずもがなですが……(写真:幻冬舎plus)

おおう!? なんてこった。肌がすっかり白くすべすべになり、ちょっと大きくなった目には自力では不可能なメイクがほどこされ、なんだか顔の周りにお花が散っている! こ、これは……。「補整」の域を超えて、軽く「フェイク」になっている気がするが。どうせだから機能をフル活用して、小顔機能を使って顎を小さくしてみる。

右の写真をプロフィールに使いたいという欲望が……(写真:幻冬舎plus)

うわあ、わたし、かわい~い……いやいや。だれ!? 写真左の「最近、口元の吹き出物が気になるのよねえ」と言っているような真実の姿の私が、美顔アプリを通しただけで、写真右の「ねえ、ここにチューして♡」みたいな幻想めいた顔に変わってしまっている。首元や指の第二関節のシワにいたるまで、都合の悪いところは、まるっと消し去られ、まったく別世界のヒトだ。

自分好きな人間ほどハマる

これはヤバい。ゾクッとした。このアプリ、薄ら寒くなるのは、撮った画像をあとから補整していくのではなく(そういう機能ももちろんあるが)、スマホの画面に映って動いている自分自身の映像が、直接「美顔」に補整された姿になってしまうところだ。

きらきらした幻想の世界の私が、まばたきをしたり、前髪をなおしたり、にっこりと笑ったりする。思わずいろんな角度から自分の美顔を眺めてしまい、そのきらきらさに見とれ、うっかり「ねえ、チューして♡」みたいなポーズをとってしまったではないか……!

いかん。これはいかん。自分好きな人間ほど、いかん。なんだか非現実に飲み込まれそうな気がした。プリクラ機と違って、スマホアプリというプライベートさが、タガを外してしまいそうな気もする。

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