7都県の41河川、増水で「氾濫危険水位」を超える

700万人以上に避難指示・勧告が出されている

八王子市小宮町の交差点では、マンホールから水があふれていた(10月12日午後2時11分、長嶋徳哉撮影)
7都県に大雨特別警報を発表し、記者会見する気象庁予報部の梶原靖司・予報課長(12日午後、東京都千代田区で)=伊藤紘二撮影

過去最強クラスの台風19号が日本列島を直撃した12日、東京や神奈川、千葉など1都6県に史上初となる大雨特別警報が発令された。多摩川や荒川、相模川など各地で川が増水して氾濫の危険があるレベルに達し、700万人以上に避難指示・勧告が出された。「海抜ゼロメートル地帯」が広がる東京都の江東5区では、多くの住民が避難所で不安な夜を過ごした。

「自分の命、大切な人の命を守ってください」。12日午後4時半に記者会見した気象庁の梶原靖司・予報課長は河川の洪水の危険性を指摘し、そう強調した。国土交通省によると、台風の影響で12日午後6時現在、東京や神奈川など7都県の41河川が氾濫危険水位を超えた。

東京、神奈川などを流れる多摩川は12日午後、氾濫危険水位を超えた。

下流域の大田区西六郷では午後4時半頃、男性が多摩川に流され、木につかまって救助を待っていたところを消防隊員にボートで救出された。日野、立川市境の日野橋付近でも、中州に取り残された男性が12日夜に発見され、警視庁などが救助に当たっている。

世田谷区上野毛の住宅街では道路が冠水。乗用車数台がボンネット付近まで水につかり、警察が周囲の立ち入りを規制した。

流域の東京都狛江市は市議会の議場や委員会室なども避難所にして、対応した。息子に連れられて議場に避難してきた同市の女性(82)は「テレビで台風の映像を見ていたら怖かった。ここなら浸水の心配もない」と話した。

荒川は埼玉県熊谷市で氾濫危険水位を超え、下流の東京都内でも水位が上昇した。

荒川沿岸の江東5区(墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)は昨年8月、巨大台風の場合には地域外への避難を求める計画を公表したが、具体的な避難先は示していない。住民の多くは近くの学校などに避難した。

区内の約7割が海抜ゼロメートル地帯の江戸川区では、近くに荒川と中川が流れる区立第二松江小(江戸川区松島)も避難所になった。警察官に手伝ってもらいながら、車いすの息子(55)と来た女性(87)は「川があふれたらと思うと怖いが、ほかに逃げる所もない」と心配そうに語った。

足立区立大谷田小学校に避難した会社員男性(42)は「千葉や埼玉県に避難しろと言われても、どこに行けばいいのか分からない。今後、真剣に考えなければならない」と話した。

静岡県伊豆の国市では、1958年の台風で氾濫した狩野川の支流で水があふれ、道路が冠水。群馬県富岡市では、市中心部を流れるかぶら川の水が、周辺の住宅街に流れ込んだ。

神奈川県を貫いて相模湾に注ぐ相模川では、上流の城山ダム(相模原市)の貯水量が基準を超える恐れがあるとして、神奈川県が緊急放流の準備に入った。流域の相模原、平塚、茅ヶ崎、厚木、海老名、座間6市と寒川、愛川2町は住民への周知など対応に追われた。

相模原市南区の市立夢の丘小学校には住民らが次々に避難。近くに住む無職男性(65)は「放流されると相模川が氾濫し、自宅が浸水するのではないか」と不安そうに話した。

このほか鬼怒川の川俣ダム(栃木県日光市)などで緊急放流の可能性が検討されているという。

大雨の際には、上流に降った雨が翌日になって下流に注ぎ、増水することがある。総務省消防庁は「雨がやんでも河川には決して近づかないで」と呼びかけている。

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